第47話 ページ49
noside
彼方が学校に行った時刻。
ろくろと紅緒は、ケガレ祓いの時間になるまで家のトレーニングルームで特訓していた。二年後の土御門島に行くために、強くなるため日々修行をしている。ケガレ祓いの時間になり、亮悟達と合流してケガレを祓う。いつもよりも早く終わり、ろくろと紅緒は禍野に向かった。
ｿﾞｸｯ。
「な、なんだ........？！」
二人は一瞬感じた気配に恐怖を感じた。コツコツ.....と二人の前から、足音が聴こえる。近付いてくるたびに、足が震え、頬を嫌な汗がつたう。ドクドクと心臓がうるさい。
「おーなんだぁ？お前ら、陰陽師か？.........久しぶりに見たな。しかも、双星ときたもんだ」
歩いてきた人.....いや、ケガレは、二人をみてもの珍しそうにしながら話している。
「クククッ、″あの娘″より..........強いのか？......いや、弱いな.....」
話しながら、近付いてくるケガレをゆっくりと見るろくろ。気になったのは、″あの娘″と嬉しそうに言う目の前のケガレ。警戒は緩めずに視線を向ける。
「久しぶりに楽しい殺しあいができると思ったが.......つまらんな......！」
顔の上の部分だけ、仮面を着け、男物の着物をきたケガレ。
胸に縦と横に複数の線が入っている。
「婆娑.........羅！」
「お、なんだ？知ってるのか？..........ああ、当たり前か、俺の他にもいるからな」
ろくろ達の目の前にいる婆娑羅は、陰陽師がいるにも関わらず話している。二人は、霊符を手にいつでも戦闘ができるようにしていた。ろくろと紅は、この婆娑羅が以前にあった婆娑羅である神威とは比べほどにもならないほど、目の前にいる婆娑羅が強いことを理解している。一瞬も気が抜けない状況でろくろの頭には義姉......、彼方の事がよぎった。
「悪いが、俺はお前達の相手をする気はない」
「「！！」」
「俺が唯一殺しあう相手は、すでに決まっているからな！」
狂ったように楽しそうにその婆娑羅の目にはある少女だけがずっと残っている。映り続けているのだ。
黒髪に紅の瞳の少女。
刀を持つ、少女の名前をろくろ達には言わなかった。
「今日は久しく起きたんだ......。お前に再び出会える気がするのぉ」
婆娑羅の予感と彼方の予感は時期に交わり始めていく。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
