第45話 ページ47
「今日はここら辺で終わろっか」
ノートにシャーペンを走らせていた繭が、暗くなった外を窓から見ながら言った。
『そうだね。帰らないと..........』
一応、絹さんに星火寮の皆の晩御飯の準備をしてもらっているので、帰るのが遅くなっても大丈夫。それに、亮悟さんから最近注意を受ける。
「高校生なのに、友達と遊ばないのか？」とか、「彼氏ができたら連れてこいよ。俺が、彼方を任せられるか見極めてやる！」とか、花の女子高生である私の心配をしてくる。してくれるのは、嬉しいんだけど......、毎回毎回言ってくるのでそろそろ止めていただきたい！！亮悟さんは、私のお兄ちゃんか！？とツッコミたくなったけど、実際、お兄ちゃんみたいに思っているのであながち間違いではない。そして、私のお父さんと言うべきか清弦さんも、さりげなく「恋人とかいるのか？」と聞いてくる。清弦さんも気になるの！？と、心の中で思った。
何で気になるんだろうか？
亮悟さんはともかく、清弦さんまで......。
ホント何があったの？
毎回、「いない！」というと亮悟さんはあからさまに嬉しそうな顔をするし、清弦さんの場合は、心なしか表情と纏っている空気が軽くなる。もう一度、言うけど......、二人は私のお兄ちゃんとお父さんか何か！？
そう思った。
というか、陰陽師として清弦さんに修行つけてもらっている私に恋は勿論、恋人なんてできるわけない。
『(それに.......、好きな人は昔からいるし。顔も名前も分かんないけどね？)』
ただ、分かるのは彼も陰陽師であることと、私にリボンをくれたってことだけ。彼からしたら、私はただの友達とかかも知れないけど、私からしたら六年前から好きな片想いの相手だ。
もう、六年もたつし、忘れ去られているかもだけどね？
あ.....、その人が既に恋人とかつくっていたら、私本気で泣く確証があるよ。立ち直れない。しばらく引きずる。
無理だったら、ろくろの弟パワーで励ましてもらおう。
──────────
帰り道。
確か、明日はろくろと紅はケガレ祓いだったよね？
私は参加しないけど......、ケガしないでほしい。
『！......今日は満月かぁ』
歩道を歩きながら、ふと空を見上げた。
きれいな円を描く、月。
光輝く月を見上げ、帰路についた。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2021年7月12日 20時
