緑の瞳は欠片を探す 《４》

◇予行練習、準備万端 ページ26

新導カサネside



レン達の福原高校でいろいろあった日から少したった今日。

お昼から少し前の時間。
私はエプロンをして、ご飯と調理器具の準備をしている。



《ピンポーン》


『あ、来た』



チャイムの音が聞こえて、玄関に向かった。覗き穴を見て、待っていた人物なのでドアノブを握って、扉を開けた。



『いっらっしゃい』

「お、おじゃまします！」



扉から家に入って来たのは、アイチ。
手には紙袋で私服。

私が待っていた人物はアイチである。



「今日はありがとうございます、カサネさん」

『いえいえ！私も楽しみにしてたよ。さ、中に入って』

「はい」



スリッパを出して、アイチをリビングに案内する。

今日は朝から一人。
ミクルさんは仕事で、クロノは延期されてた学校の遠足に向かった。休みの日にも行事やるんだな〜と思いながら、朝早くから二人のお弁当を作ったのだ。



『荷物はそこら辺に置いてね。』

「あ、これ.....」

『？』



アイチから渡されたのは、箱に入ったお菓子。彼のお母さんとエミちゃんから、私に料理を教えてもらうならとその御礼にだそうだ。本来なら、私よりアイチのお母さんが教えた方がいいんだと思うが私がアイチを誘ったのだ。

なんだか申し訳ない....。



「母さん達から、よろしくねって」

『アイチのお母さん達にわざわざありがとうございますって、伝えておいて』



お菓子はクッキー。
ミクルさんとクロノと一緒に食べさせていただきます。



『じゃあ、早速作ろっか！エプロンとか用意してきてくれた？』

「はい。よろしくお願いします！」

『うん！頑張ろうね』



用意してきてもらったエプロンをアイチに付けてもらい、私達はキッチンへ。



『えーと、林間学校の野外炊飯で作るのは.....』

「豚汁とサラダ、後ご飯を炊いておにぎりにするみたいです」

『なるほど、豚汁とサラダはいいとして、ご飯は炊いちゃってるから、おにぎりの練習だけになるかな〜。それでも大丈夫？』

「全然大丈夫です！教えてもらえるだけ、嬉しいですから」



この会話からわかるだろう。
私は今日、アイチに林間学校での野外炊飯の予行練習をしようとしてるのだ。


役割は当日決めるみたいだけど、作るものは決まっていて、予め何が当たってもいいように練習するのだ。

　


　

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