◇すれ違う再会 ページ6
そんなことを考えながら、デパートの中を歩く。他にも、買わないといけないものがあるかも知れないので(忘れているだけで)、色んなお店を見て回る。
『クロノの方こそ、好きな子とかいないの?』
「いない」
『そっかぁ』
いないのね。
初恋は幼稚園の先生!とかないのかな〜。
『!あ、あそこ!』
「手芸屋さんに行きたいの?」
『う、うん!』
思わず探していた手芸屋さんを見つけて声に出してしまった。
恥ずかしい.....。
『ちょっと作りたい物があってね!』
「そうなんだ.....。あ!そういえば、靴が大きくなってもう靴袋に靴が入らないんだ。新しいの作ってほしい」
『もう、小さくなっちゃったんだ....!』
弟の成長は早いよ.....!
クロノの頼みに頷き、手芸屋さんに向かう。
私も用があるしね。
『クロノ!袋のガラ決めて来て!』
「うん!」
好きなガラの生地をクロノに選びに行ってもらっている間に私はあるものを選ぶ。
『よし!これにしよう!』
いいのができそうだ。
──────────
『.......!あ』
「.......姉ちゃん?......あそこに行きたいのか?」
お店を見ていたら、何となく惹き付けられる通路があった。
思わず足を止め、そちらの方を見てしまう。
そのため、隣を歩いていたクロノが気づいて聞いてきたのだ。
でも.....、
『ううん。大丈夫!.....さ、お菓子でも買いに行こう!』
「うん」
足を動かし、クロノと共にその場から離れる。
なんとなくだけど、.....嫌な予感がするから.....。
それに、もしあの先にあったお店がアイチ達がこの間行ったと言っていたウルトラレアの人達のお店ならダメだ。ヴァンガードに触れることになる。
『(それはダメ。)』
クロノにヴァンガードはダメだ。
今はまだ、ダメ。
きっと、まだ出会う時じゃない。
思い出す時じゃない。
知ってほしくない.......。
その日、カサネが見つけたお店には丁度アイチ達がいた。
そして、その時、
彼女がそこに足を踏み入れていたとしたら.....、
彼と彼女が再会していただろう。
___________″雀ケ森レン″と。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年11月6日 19時