◇学ラン転生ガール&チアガール ページ8
「湖羽、霜さんの学ラン着てなかったっけ?」
『あー、そう言えば着た。ブカブカだったよ』
「霜?」
『私の兄さん』
「湖羽さんの!」
皆そろって初耳みたいな顔だ。
尽八には言ったけど、荒北達にも言ったことなかったみたいだ。中学の頃に一度、着てみたくて着せてもらったのだ。手袋をもう一度ぎゅっと掴んではめる。自分の姿を見て、気合いを入れ、靴の紐も結んだ。
よし!頑張ろー!
『ああ〜、人前は緊張するよ.....』
「しょうがないよ」
『そうだねー』
くじ引きだし、もう練習したし、フリもバッチリなので皆の練習成果を見せない方が勿体ない。成績のよろしくない桜良の成績が少しでもプラスされてほしいと言うのもある。菊乃が真剣な顔つきで言ってた。
「でも、格好が恥ずかしいですね。湖羽さん達は似合ってますが」
「わかる」
「「『.........』」」
「え、どうしたの?皆.....」
「『チアだ.....』」
菊乃と桜良、彩芽は応援団であり、服装はチア。
大体女子の応援団はチアなのだが、私と千歳だけは学ランとなったのだ。何か、被服部の人達が「是非!!二人には学ラン着てほしいんですッッ!!」と必死にお願いされて「は、はい....」と。去年のデジャブだった。チア部のねねこちゃんもチアで振り付けとか気合い入っていたし、しごかれたと三人は言ってたのを覚えてる。
『似合ってるよ(微笑』
「可愛い(微笑」
「あ、ありがとうっ......」
「ありがとうございますっ.....!」
「相変わらずのかっこよさ....」
「無自覚....」
「初恋ドロボー」
『誰の初恋も奪ってないよ.....多分!』
「(現在進行形で奪ってるけどね、後輩の)」
大体、皆の初恋って幼稚園、保育園の先生じゃないのかな?それかアニメのキャラで.....。私は幼稚園の先生にも保育園の先生にも惚れてはない。多分、うっすらと前世の記憶があったのか、無意識に初恋は奪われなかったのだ。
「《応援団は応援の準備をしてください》」
放送が流れて、尽八達と別れて応援団の集合場所に集まる。そして、太鼓と旗を持ってグラウンドの中央へ。立ち位置について、ふぅと息は吐く。集中。
『(......応援が終わったら後はリレーだけ....)よしっ!』
始まりを知らせる放送で私の応援パフォーマンスが始まった。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時