◇ナイスキャッチ ページ5
午前の競技は終わり、午後の競技までのお昼休憩の時間になった。広い開けた場所で彩芽達とお昼を食べる。
「キャッ!」
「「「『!!』」」」
悲鳴と共に目の前の女子生徒がつまずいて、転んだ。しかも、前から。そして、その子が持ってたであろうお弁当とトートバッグ、水筒が宙を舞う。スローモーションのように落ちてくるお弁当、水筒、トートバッグを菊乃を除く全員がキャッチした。
________すとっ。
「ナイスキャッチ」
「「『ビ、ビックリしたッ!』」」
トートバッグはそんなに落ちても被害がないがお弁当はまずい。下手したら、中身が落ちて大惨事である。
「す、すみませんっ!!」
「こっちは大丈夫よ。貴女の方は?」
「私も大丈夫です!取ってもらいありがとうございました」
「危ないから気をつけてね」
「はいっ」
キャッチしたトートバッグの中身を女子生徒に渡す。私がキャッチしたのは水筒で桜良がお弁当、千歳がトートバッグだった。
「お弁当は蓋がしっかりしまってたから大丈夫みたい」
「本当にありがとうございまして!」
『気にしなくていいよー』
丁寧に頭を下げて、御礼を行ってくれる彼女。メガネと耳の下で二つ結びの子。どこかの長身メガネ君(ツッキー)を連想させた。......いや、この子はひねくれてないからなぁ。
『(.....どこかで見たことあるような?)』
とか思いつつ、女子生徒と別れて私達は生徒席に向かった。
「メガネを見ると月島君を連想させたね」
『真面目そうで、しっかりしてる子だったね....』
「.....あの子、真波の幼馴染みの子じゃない?」
『あ!宮原ちゃん?だっけ?』
確か、真波の欠席、未提出分の課題をプリントにしてくれていた。滅茶苦茶いい子だ。しおりんが頼りがいがある生徒だって話してた。
『ここで会うとはね』
「この半年会わなかったのは逆にすごいね.....」
千歳と二人、こそこそと話す。アニメで見た委員会ちゃんって、真波の事が好きな恋する女の子だったよね。
『チクッ)......?』
「湖羽、どうかした?難しい顔して?」
『いや、何でもない....!』
胸の辺りがチクッとした?
気のせい?
「そう?なら、菊乃達追いかけよう!」
『了解!』
二人を追いかけて、歩きだした私。
さっきの違和感は完全に忘れていたのだった。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時