◇超バレーバカ ページ38
須上愛子side
『千歳、ナイサー！』
「ナイサー！！」
決勝戦が始まり、千歳さんのサーブ。
コートからも観客席からも声援がとぶ。隣にいる大崎先輩が他の応援思慕の生徒達よりも大きな声で声援を贈っている。千歳さんのサーブはノータッチエース。その後二本とも先輩のサーブで点差を放した。流れと空気は私達の方で、ここから湖羽さん達の攻撃だ。
バッ！
『(来たっ!!とれるっ!!).....ッよし！！！』
「ナイスレシーブ！！」
「湖羽さん、ナイスレシーブ！！」
相手チームのサーブを湖羽さんがレシーブで拾う。上げられたボールは綺麗にセッターである千歳さんの真上に上げられる。
「相変わらず、湖羽さんのレシーブは綺麗ですね。セッターの元にぶれなく全部返してる......スゲェ」
「奥山君は中学でバレーしてたんだよね？」
自転車競技部メンバーの中にいる同級生の奥山君は、湖羽さん達の中学の後輩で元バレー部。湖羽さんのレシーブをする姿に感心と憧れの眼差し。スゲェと最後にこぼした言葉にバレー経験者からわかる湖羽さんのレシーブ力。
「オポジットのポジションに湖羽さんを入れ、安定したレシーブ力を持つ湖羽さんとリベロの桜良さんの守備。箱学の守備力は高い」
「それに湖羽さんは全国No.1スパイカー、榊さんは全国No.1セッター......そういうのも相手への驚異になりますね」
奥山君と大崎先輩がコートの湖羽さん達を見ながら話している。周りは二人の解説を聞いていて、初めて試合を見た一年生は湖羽さんのスパイクに驚いている。
ｷﾞｭｯ、
＿＿＿＿ﾊﾞｧｧ!!
『しゃあっ！！』
「ナイスキー！」
湖羽さんが助走をして、スパイクを決めた。
先輩が跳ぶ度に羽が舞っているように錯覚して、どこまでも飛んで行きそうなぐらい翔ぶ。空中戦を戦う姿は異名通り「一天の白鳥」。限界を知ることはないのか、その翼は翔ぶことを、上を目指すことをやめることはない。
「......すごい」
「お前の好きになった先輩はあーいう人だ。全国No.1スパイカーと呼ばれ、高校の女子バレーボールで期待されるエース選手......美園湖羽」
中学も高校もバレーしかしてきていない人。
私達のエースは.....、
「誰もを惹き付ける天性の超バレーバカ、.....ですよ！」
「違いない」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月28日 21時
