◇サーブで決めろ!決勝戦 ページ37
『いつ来ても緊張するよね、ここに来ると』
「うん」
代表決定戦最終日の三日目。
この試合に勝てば、一月に行われる春の高校バレーへの出場権を得る。私達三年生にとっては最後の大会で、私と千歳にとってはアニメで、漫画で、見た憧れの舞台。一・二年の時も行ったが、今回はまた違う。烏野が来て、原作の舞台で。
「湖羽!千歳!」
『尽八!応援来てくれたの?』
「行くと言っただろう!荒北達も一緒だぞ」
「湖羽さん、応援に来ました!!」
『お、彩芽もありがとー!』
私服姿の自転車競技部メンバーが応援に来てくれて、千歳は尽八が来てくれた事に嬉しそうだ。希穂達も雪ちゃん達と話をしている。「!」と葦木場の後ろにピョコンと出るアホ毛を見つけた。葦木場の前から覗き込んで話しかける。
『真波も応援来てくれたんだ?』
「!.....はい」
『ありがとー』
「(普通に話してる......!)」
「(美園チャン、試合モードに入ってんネ)」
「(今日は落ち着いてますが、試合が終わったらまたここ最近通りになるんでしょうね、湖羽さん)」
意味ありげな視線を向けられて、「何?」と聞けば皆揃って何にもなーい....と反応を返された。まあ、聞いても教えてくれなさそうだしいっか。←集中力が上がった湖羽の頭の中には真波に告白されたということはなくなっている(試合とバレーと勝つ事と翔ぶ事しかない.....みたいな)。
アップの時間。
今日も昨日と同じように皆調子がいい。
私もいいが.....いいのだが、テレビ来てんだよねー。宮城の方でもカメラ来てたのを前世の画面の向こう側から見た。
「(湖羽さん、さっきから微妙な顔してますね.....)」
「(テレビだよ、テレビ.....)」
「(注目されるの嫌ですからね、湖羽さんは)」
別に見られる事で弱くなるわけではないけど、注目浴びるのは嫌で逃げたくなる。今年の取材だって、何度ポーカーフェイスで乗り切ったか.....。その度に尽八の性格を羨ましく思うよ。どうして、あんなにも目立ちたいのかわからん。
「千歳、サーブで五点取りなよ」
「え、五点?」
『そう言う勢いでサーブ打っててことでしょ?』
「うん」
及川みたいな事(ラーメン奢る)はしないので安心してくれ。岩泉達みたいに君のサーブを信じてるもの。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時