◇真っ赤になる ページ33
「先輩は俺の事なんて何にも思ってないかもしれないですけど、俺は先輩の事が好きで......」
『......あ、その.....っ.....え、と.....』
「困らせるってわかってたんです。でも、先輩と話して一緒にいて、止めれなくて.....」
『.....っ....!!』
爪先から指の先が熱くなってくるのがわかる。
『〜〜〜っ!!!』
バッと体が熱くなり、足、指先、顔に熱が伝わって来て、自分の体温が高くなるのがわかった。
《♪〜》
『！(電車、来た.....)』
どう言えば良いのかわからなくて、ぐるぐるなる思考の渦に電車の来た音で引き戻された。
「その、......返事はゆっくりで、いいので.....」
『！』
そう言って真波は力なく笑った。
私は彼と別れた後、試合でエンドラインにボールが落ちそうで急いで駆けて、ボールをレシーブした時と同じぐらいのスピードでその場から駆けていった。駆けていったっていうか、逃げた。逃げてしまった。
『(ああ、もうｯｯ！！はっずかしいし！！！ワケわかんないｯｯ！！！)』
家からの帰り道のバス停まで全力ダッシュしたのは、夏のIHで負けて以来である。
──────────
あ、やばい真波置いてきちゃった.....。
『.......ど、どうしよっ』
家の玄関に帰ってすぐにその場にしゃがみこんだ。バッグを膝に乗せて、ぎゅっと抱き締め抱え込んだ。家の近くの駅からここまで速足(本当は全力ダッシュ)で帰ってきた私。
私、何て言われた？
さっきまで何て言われてた？
『......夢....だっけ.....？.....いや、ちょっと待って.....痛ｯｯ！！』
頬を引っ張れば痛くて、夢じゃなくて.....。
冗談じゃない事はわかってるよ。
『ｶｧｧｧｧ)〜〜っ！！！』
だって、あの時の真波の表情は尽八が千歳を見る目と同じだったもの。あの表情も私はよく近くで見ていた。自分に向けられるとは思わなくて.....。
『......顔、熱い.....。冬になるんだよ.....？』
夏みたいに熱くて、恥ずかしくて.....。
さっきから真波の事ばっかり思い浮かんで、どうしようスーパーよらないで帰ってきちゃったよ。それに！それにそれにｯ......！！
『火曜日から試合なんだけど.....!!』
春高予選！！
いつも通りが出来なさそうで不安で......。
『.......恋、難しいよ.....』
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月28日 21時
