◇オオイソガシ！ ページ4
美園湖羽side
私達の借り物は比較的最初の方。
まだまだ後ろには、他の学年、クラスの借り物競争に参加する生徒がいるのだ。
「あの美園さんっ！一緒に来てもらえますか！？」
『いいよ』
「東堂先輩！あ、あの一緒にゴールに向かってもらえますかっ！！」
「ああ！すぐに向かおう.....！」
「榊先輩、俺と走ってもらえませんか！！」
「私のでよければいいよ」
「こ、九重さん！俺と一緒に走ってもらえませんか！？」
「ええ」
「新開君！来てもらってもいいかな？」
「ああ」
次々と借り物競争は進んで行き、三年生の一角では立って貸して、走っての繰り返し。中でも、すごいのは私と尽八、千歳と新開、菊乃のところだった。去年よりもすごい.....。
「湖羽さん、大変ですね.....」
『そうだねぇ』
「俺が数えてるだけでもう五回は来てますよ？東堂さん、千歳姉、新開さん、九重さんの四名も」
『すごっ.....！私達に関係のあるお題多くない？？』
「(アンタ達目当ての人がいるからな)....荒北さんの周りに座ってた湖羽さん達が抜けて、一人座ってますね.....」
『本当だ』
ゴールして、記録係の雪ちゃんと話していると生徒席でポツンと座る荒北が目に入った。周りには私達がいたのだが、丁度、皆留守中。
「湖羽、一緒に戻らない？」
『いいよー！じゃ、行くね！雪ちゃんも頑張ってね、記録』
「はい」
雪ちゃんに手を振りながら、千歳と共に生徒席へ。
途中で別れるが一緒に行く。
「今年もすごい人気.....東堂君....」
『美形クライマーだし、ナルシストだしね....』
「.....ちょっと距離が近いと思うんだけど」
『嫉妬千歳さんだ』
「！ｯ.....だって」
『いいんじゃない？彼氏なんだし....』
「いろんな千歳が知れて私としては嬉しいよ」というと顔を染めて、微笑んだ千歳。後ろで「うっ....！」と言って膝をついた奴を見かけたが、見なかったことにして先に進んだ。あの少年は千歳にやられんだだろう.....。
ドンマイ！←アンタも千歳姉と同じ感じだよ！と黒田は思った。
「ねぇ、今、千歳が無関係の一年生をキュンしさせたところ見たんだけど.....」
『気にしなくていいよー』
こうしてまた、千歳のファンが増えたらしい。
桜良から聞きました。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月28日 21時
