◇ふと思い浮かぶのは後輩 ページ26
美園湖羽side
『パチッ).......!』
え、これ.....。
あ、ヤバい.....寝てた。
と起きて早々に思った。
『.......ん?』
目の前に入って来たのは白のジャージ。三年間あの山神の背中を見てきたんだ。見覚えのあるそのジャージはチャリ部の物だと分かる。いや、まあ背中に″箱根学園自転車競技部″って書いてあるし。辺りを見回しても誰もいなくて.....。見渡した時に視界のはしに映ったうちの男子のブレザー。肩からうちの学校の男子の上着の袖が見えて、私にかけられている。あ、さっきから肩に違和感があるなぁと思ったらこれだったのか〜。
『......誰の?』
どこの部活のかはわかったけど、誰のかがわからない。膝に乗ってるジャージは大きくて、地面に付きそうになったのを慌てて押さえた。これで今あんまり寒くないのか.....。パーカー着てないからね、私。
私がここに寝てるのを見た誰かがかけて行ってくれたのかな?......尽八?それとも葦北場?.......三年生の誰かかな?でも、皆今日はファンライドだからHR終わってすぐに部室に行ったし......。それとも親切な別の誰か.....。膝に乗せ直してジャージに視線を落としす。マジ、誰のだよ。名前書いてないし.....!返すにも返せない.....。
『ていうか、やらかしたなぁ.....』
夜遅くまでDVD観てたのとお腹いっぱいになったから寝ちゃったのだろう。裏庭のベンチって自然いっぱいで眠たくなるし。天気良いし。........それと普通にファンライド見逃した.....!!地元開催の尽八の走りを見逃すなんて!!
『もう終わったよね.....』
自身の携帯を取り出して、画面を見れば絶対にレースが終わってる時刻。今日は新作のロールケーキ食べに行こうと思ったのに.....。尽八のレース見逃して、予定が一時間ちょっと過ぎてしまったし、どこの誰かのかわからない制服とジャージの上着を借りてしまったし.....。
...........ちょっと待って、尽八だったら私のこと起こしてくれるよね?でも、起こさないで寝かせといてくれる......後輩?いや、ちょっと待って私が起きなかったんじゃない?最近、DVD観てたし.....、ぐっすりで私が起きなくて......あり得るぞ。
『..................真波?』
ふと後輩と思った時、頭によぎったのはあの不思議チャン。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時