◇思い浮かんだのは二人 ページ3
東堂尽八side
「美園チャン、こっちに走ってきてねぇカァ?」
「本当だ。明らかに近付いてきてる」
「今年も東堂君なんじゃないですか?」
走って近付いてくる湖羽。女子の視線を集める湖羽は、片手を上げて近付いてくる。彩芽はいつでも何が借りられても良いように準備万端で他の三年もさりげなくアピールしている。
『.....じん────!』
「任せろ!」
『ありがとー!(名前呼び終わってないんだけども....)』
湖羽は俺の手首を掴み、走り出す。ゴールを目指すために前を向いて、全力で走ってる。生徒席の方から俺と湖羽に視線が集まってくる。それもそうだろう!この美形クライマーである俺とバレー部エースで美形の湖羽が一緒に走っているからな!湖羽は俺同様にファンクラブがある。本人は三年間知らずに過ごしている。
「ゴール!!!」
『やった!』
一番最初にゴールテープを切った湖羽。嬉しそうに微笑む湖羽を見て、お題確認の男子生徒が頬を染めている。当たり前だが、気づかない湖羽。その鈍感と無自覚はどうにかならないのか?お題の紙を渡し、俺の方を見た彼女に確認役の奴は頷く。
「確認しました。お題クリアです」
『ホッ)良かったー!』
ホッとした様子の湖羽に俺はお題が何であったのか聞いた。
すると湖羽は移動しながら答えた。
『″クライマー″』
「なら、俺がぴったりだな!」
『でしょ?″クライマー″って見てパッと尽八の顔が浮かんだんだよねぇ』
「黒田や真波がいたのにか?」
『尽八は、私が惚れたクライマーだしね!』
「.....お前、カッコいいな....」
『私的には、夕が一番カッコいいよ』
「それ言うの二回目だぞっ!?」
『知ってる』
二人で話しながら、一着の場所につく。記録を録られた後に生徒席の方に解散だ。「三年連続東堂だったね。」と桜良が言うと「私の引くお題だけ、全部自転車部関係なのは何でだろう.....?」と返した。
「運じゃない?」
「運だろう」
『運.....(運ね.....)』
クラス全員に言われた湖羽。
『尽八、訂正』
「?」
『″クライマー″って見て浮かんだの君と─────』
「!」
そう言って微笑む湖羽を見て、まさか....と思ってしまった。
『______真波だったんだよね』
68人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時