◇頼れる先輩クライマー ページ14
「百本サーブは諸星先生がか?」
『そそ。まあ確実にわかってるだろーけどね、状況』
先生、真波のこと心配してたし。
あの人、人のことよく見てるから。何が得意で苦手でってことを理解していて、悩んだりしてる私達にヒントをくれる。前に進む手助けをしてくれる。だから、しおりんは人気があるんだよね、生徒から。
『奥山ー、彼が心配してたんだよ』
「アイツはよく見てるからな、俺達のこと」
『次の主将のとーちゃん達のことも支えてくれる頼れる存在だよね?』
「ああ」
本当に頼れるよね、奥山は。中学の時から変わらない。なんか、すごいよね。自転車に心惹かれて箱学に入学するなんて......。
『後は新チームの主将達に任せるとして、副主将アシストツッコミが上手い雪ちゃんがインハイでのことは言ってくれるだろうけど、.......小野田の方は尽八がアドバイスしてあげてよ』
「メガネ君と連絡取り合ってないと思うか?」
『思う。というか、そもそも連絡先知ってるの?』
交換してないかもしれないよ?
名前と学校しかしらなくて、IHでボトルを返すために約束して、二人はあの舞台に来たそうなんだよね(小野田情報&前世の知識)。インハイ後から思い詰めてるのは本当。いや、避けてる?かな。気にしている。負けた事に関連して何か思ってる事は本当だろう。
なんか今年の一年生.....と箱学色々あるな.....。
『ま、登れるうえにトークもキレる美形クライマーのアドバイスできっと立ち直るきっかけになるでしょ』
「ワッハッハッ!任せておけ!俺が見込んだクライマーだからな!」
『!.....そっか』
良かったね、真波。この山神に認められてるよ。視線を下に向けて眠る真波の頭をもう一度撫でた。バッグからジャージを取り出して、上からかけた。
「春にもお前、真波にジャージ貸してたな」
『また貸すことになったねー』
今回は再会じゃないけど。
名前も知ってるし、初めましてじゃない。
『尽八、私普通に君の事呼んだけどさ?用事とかなんかあった?それだったらごめん』
「いや何もなかったから気にするな」
『(山、登ってたな.....)』
なめんなよ、尽八。
何年の付き合いだと思っているんだ?
普通に山登ってた事なんてわかるのだ!
『(本当に後輩思いの良い先輩だよ、君)』
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月28日 21時