◇自由に走れ ページ13
どうすることもできなくて、とりあえずそのままの体勢。動くと起こしちゃいそうで動けないんだよね。
『頑張りすぎだよ、真波』
疲れるまでペダル回して、倒れるまで自転車乗って.....。
部室で倒れて、保健室行って、心配されて。尽八も荒北も新開も福ちゃんも気にしてる。さらっと髪の毛に触れて、撫でる。すぅ....と寝息をたてて、そうとう疲れが溜まってたのか、普通に寝た。疲労で倒れたら元もこもないんだけどねー？
『ちゃんと休憩できてるし.....うん、良かった......』
私は平気で部活遅れてるけど。
まあ、後輩君のためだし大丈夫でしょ。早めに家出て散歩してて良かったよ。してなかったら、色々大変になってたかもしれないし。
『......一年生に背負わせるなよ、尽八ー』
「すまんな、真波の事」
『別に良いけど』
連絡いれておいた尽八がすぐに自転車に乗って来た。ロードレースは何が起きるかわからない競技。わかってるけど、一番
『″自由に走れ″ってアドバイスしたんでしょ？』
「ああ」
『それで走った......』
その後に気づいちゃったのか。
背負ってしまった重みを理解してしまって、潰れそうになってる。尽八も荒北も新開も福ちゃんも気にしてる。真波の気持ちを、.....楽にしてあげたいと皆思ってるけど、言ってもそれが相手に伝わるかは別の話だ。気持ちの整理と時間のかかる問題だろう。
「俺達が言って、真波が理解するとはまた別だからな」
『そうだね』
それを理解するのはきっと少しずつじゃないと無理なんだよ。すぐに切り変えることなんて無理で、悩んで悩んで時間が経って.....、やっと気づくんだよ。一つの答えに。ふと思うんだよ。
ぐらっ。
『わっ』
肩の重みがなくなったと思ったら、真波がこちらに倒れてきてすぐに両手を広げて支えた。体勢崩しただけで、目覚めてはいないらしい。真波を支えながらちょっとだけ動いて、彼の頭を私の膝の上に乗せた。寝心地悪かったらとてつもなく申し訳ないが、我慢してもらおう。
「部活行っていいぞ？」
『う、うーん、いや居てほしいって言われてるからねー。真波が起きるまで待ってるよ。......百本サーブと居残りは決定してるしね』
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月28日 21時
