◇恋の定義 ページ10
翌日、午前十時四十三分
「はーーーっ」
「こら！口開いてるぞ！」
『ボーッとしてるけど、どうかしたの？』
「たつきちゃん。朔ちゃん。」
二時間目が終わり、休み時間。
自分の席にだらっと座っている織姫に声をかけた。
織姫の視線の先はわかりやすい。
「遅いね、一護！」
「え？」
『一護のこと考えてたんでしょ？違った？』
「ち....ちがうよ！」
あれれ？
織姫は一護のことを特別に見ていると思ったんだけどなぁ。
一護に恋をしていると。
「......」
「『どこがいいの？』」
思わず聞いてしまった。
贔屓目無しに織姫は超絶可愛いし、性格もいいし、ちょっと抜けているところもあるけど、そこは織姫の良いとこでもあるし、おまけに胸も大きい美人さんだ。
別に一護の良いところがないわけではない。
いい奴で自慢できるし、妹想いだ。
だけど、織姫ならもっと好い人に巡り合えそうだから。
「面白いところ！」
「へ？」
『面白い....？』
「あたしはあのいつもしかめっつらしてる黒崎くんのカオを思いかべるだけで......」
『だけで？』
「......ブプーーーーッ！！最高！！」
「そ......そうかなぁ.....」
『そ、そうなんだねぇ.....』
何を想像したのか織姫がいきなり笑いだした。
何を想像したんだろう.....？
まあ、織姫が今日も楽しそうだからいいかな？
それにしてもツボりすぎ。
「今日休みかもしんないよ」
「「！」」
『え？』
「一護」
「小島くん」
一護の話をしていたからか、小島水色がまだ登校していない一護の情報を教えてくれた。くれたのはいいが、私達にはどういう意味かわからない。
「どういうこと？」
『そういえば水色、いつも一護と一緒に来てるよね』
なのに今日は一緒に登校してなかった。
「今朝も寄ったんだけど家にでっかい穴があいててさ」
『穴！？』
「うん。なんか夜中にトラックに突っ込まれたって言ってた。オジサンが。」
『えぇぇっ！？！？』
「トラックぅ！？」
水色の言葉に驚き、思わず大声を出してしまった。
それはたつきも同じだ。
「じゃあ何？あいつケガしたの！？それとも死ん.....」
「でねえよ」
聞き覚えのある声と共にたつきの顔に鞄が押された。
あ、この鞄と声は。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年9月17日 21時
