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◇コドモノコロノワタシタチ ページ25

有沢竜貴side


あたしの部屋に織姫と朔を呼んだ。
あいつの事に気づいた織姫には話しておこうと思った。織姫は私の話に耳を傾けて、真剣な眼差しで私を見る。朔は寂しそうに悲しそうに私を見る。



「(あれはいつの頃だっけ......)」



初めて会ったのは四つの時。
あたしの行ってた道場で、クソみたいにハデな髪の色して、ウソみたいに綺麗なお母さんに手を引かれて......。笑顔で話してくれる幼馴染に応援されて、ウソみたいにニコニコしながらあいつは来た。



「ヒョロヒョロでヘラヘラしてて、スッゲー弱そうでさ」

『見た目の問題だったかな.....(今とは全然違ってる。....まあ幽霊見えるのは昔から変わらないけどね.....)』



隣にいる織姫と朔に話す。
自分の事が出てきた時の朔は苦笑して、「そう言えば、応援しに行ったね。そこでたつきに出会ったもんね」と懐かしむように微笑んだ。



『あの頃は道場に行くまでの道、探検みたいで楽しかったんだよね』

「それ、朔だけだよ」

『そんな事ないよ』



昔から朔の笑顔は綺麗で、見惚れるぐらいで、なのに本人は気づいてない。変な奴に絡まれたりしそうになるとあたしと一護で追い払ってたっけ.....。今もだけどさ。



「一護は思った通り、スッゲー弱かったんだよ。負けるとすぐ泣くし。ていうか、ソコの道場であいつ最初に泣かせたのあたしなんだわ」

『一瞬だったね』

「上段で一発!十秒かかんなかったね!あん時は」

『ちょうど道場に一護の忘れ物届けに来てた時だったっけな〜?』



「ドンッ!って大きい落として、中見たら一護泣いてるんだもん。何事かと思ったよ」とまた懐かしそうにあたしの顔を見た。



「あいつ泣いてても迎えに来たお母さんの顔見るとすぐにニコニコになった」



朔の前でも基本泣くの我慢してるけど、朔にはバレバレで。いっつも「泣けばいいじゃない?悔しいんでしょ」って言われて、耐えきれなくなって、泣くってのがお決まりでさ。

私には「たつきちゃん、カッコよかったよ!」って、あたしが試合に勝てば「やったッ!!たつきちゃん、おめでとう!!」って、自分の事のように喜んでくれて。


あたし途中からさ。
朔が応援してくれるのが嬉しくて、喜んでほしくて勝ってたところあったんだよね。本人には言ってないけど。

 

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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2023年9月17日 21時

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