◇約束 ページ24
気づいたら隣にいた。
幼馴染って言う普通の友達よりも少し距離が近くて、特別な関係。
私が前世の記憶を思い出したのは、一護と遊んでいた時。
遠くに見える一護を見て、彼の後ろに合った夕日を見て「......あ、転生したんだな」って納得した。死因は分からなくて、ここはどこなんだろう？って。
本当は分かってたはずなのにね？
理解できたはずなのに、その時は分からなかった。
ポロッと精神年齢的には出るはずないと思ってた涙が頬をったって、それを見た一護は心配そうに駆け寄ってきてくれた。
「大丈夫？」
『.....う、うん....』
「何かあったのか？嫌な事でもあった？」
『ううん......何にもない......』
本当に何もないんだよ。
ただ、少し悲しくなってしまっただけなんだよ。
『何かね』
「うん」
『失くしちゃった気がするの』
大切な何かを失くした気がしたんだよ。
忘れたら後悔してしまうものを置いてきてしまったんだよ。
きっと.....。
「大丈夫！」
『！』
「なら、俺が見つけてやるから」
『え....？』
「それ、朔には大切なものなんだろう？」
『う、ん....』
大切だった、......違う、今でも大切なもの。
「泣くほど大切なモノなら俺が探してやる」
『で、も.....多分、ここにない、よ....？』
「だったら、俺がもっと大きくなったら一緒に探してやる。......遠くでもいい。探しに行こう」
『！』
そう言って、手を伸ばして私の片手を掴んだ。
ぎゅっと手を握られて、ニコッと笑って.....。
確証なんてものないのに、どこにあるかも分からないのに、一護はそれでもいいよって。分かっているのか、それとも分からなくても、それでも一緒に探しに行こうとしてくれているのか。
「約束するから」
『..........うん』
「だから、もう泣くなよ。元気だして」
『うん.....』
掴まれた手を私もぎゅっと握って、笑った。
『ありがとう.....！』
「当たり前だよ？友達で幼馴染なんだからさ」
『そうだね。だったら、私も一護が困ってたら一緒にいてあげる』
涙はもう止まってて、私はもう悲しくなくて。
寂しさもなくなってて、それよりも一護の優しさが嬉しくて、大切で。
「うん、約束」
『約束』
私と一護が交わした約束。
今もまだ続く約束。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年9月17日 21時
