【Dr.STONE】科学王国の先輩 (ページ9)

今日:26 hit、昨日:11 hit、合計:10,798 hit

第1話　石の世界になるまでの日常⑦ ページ9

剣道の大会。
私は県外の大会会場へと足を運んでいた。
試合までの時間、高校の校舎にいる杠に電話をかけていた。何故か今日は、いつも以上に心臓がバックバックで、緊張して落ち着かなかった。だから、友人の声が聞きたくなって電話をかけてしまった(石神先輩は実験で忙しそうで、従兄妹は仕事中なので電話はかけられない)。

まあ、なんか試合に緊張？している感じじゃないんだよね......。よくわからないけど、なんか違う感じ......。胸騒ぎがするような......もっと嫌な感じがするんだよね.....。

『《なるほど～、これから大樹先輩に呼ばれてるんですね？》』

「《うん、ごめんね、花百合ちゃん！》」

『《全然気にしてないですよ》』

スマホで電話した私は、杠の話を聞いてピッとスマホの通話終了ボタンを押した。私はポケットにスマホをしまいこむ前に、画面を見た。日時と画面の待ち受けを確認して、ポケットに入れた。

『いよいよ、大樹先輩、杠に告白するんですかね？』

周りには人はいなく、聞こえるのは私の声だけ。
初対面で、杠の事が好きだと気づいた私は大樹先輩のことを応援していた。四年も一緒にいて、告白しないのはいつもモダモダしてしまった。石神先輩からしたら、五年らしい。漫画とかでは、十年ぐらい片思いしていた人がいたりするけど、なんだろう。現実だと長い感じがする。

きっと、大樹先輩は杠に告白しに行く前に石神先輩に相談というか、宣言しに行くのだろう。石神先輩は、大樹先輩を先輩なりに鼓舞してくれると思う。

私が帰ったら、大好きな先輩二人がカップルになっているというお祝いかなぁ？楽しみです。「おめでとうございます！！」って言わないと。

『............え？』

会場の表の方、人がいる方へと歩いて向かう私は、ある光景に足を反射的に止めた。その光景に視線が固まり、目が離せなくなる。

なに、アレ.....？
緑色の光が、ここら一体を包み込んだ。
いや、これはここだけじゃないかも知れない。県を国を.....下手したら、世界、地球全土をこの光が包んでいるのかも。

光は徐々に強くなり、私達の体にある変化を与えた。次第に私の体は動けなくなる。何にも見えなくなって、暗い暗い場所に私はいるような感覚に陥った。
　

　

　

　

　

　
その日、世界中の人間は全て石になった。

　