◇地区大会決勝戦 �� ページ17
『.........』
「どうかしたのか？」
『いや、何でもないよ』
三和が、首を傾げながらこちらを見た。
なんともないので、大丈夫だと伝える。
『(今の.....)』
ファイト中、一回だけ、......左目がぼやけた。
違和感を感じた左目を上から撫でたけど、特になんともなっていないように思える....。
それに一瞬アイチの様子がおかしかったように思えた。
もしかして、気のせいかもしれないけど。
「アイチお兄さん！！すごいです、ゴウキに勝つなんて！優勝です！やったああああ！！」
思いっきりアイチの元に走ってきて、飛び付くカムイに答えるようにアイチは、嬉しそうに抱きついたカムイを支えた。
「全国大会出場です！まさか、アイチ君がここまでやってくれるなんて....！」
「やるじゃん.....！ね？」
隣に座るミサキが櫂の方を見て言った。
「.......いや、まさか、な。下らん。」
「ああ！下らんって言ったか今ああ！」
「カムイ君、今の違うと.....」
「やい！てめぇ！！お兄さんが勝ったというのに何が下らねんだ！この野郎！！」
グイ。
「まあまあ.....！」と櫂に襲いかかろうとしたカムイを引っ張り止めるシンさん。
私も聞こえたけど、今のは違うでしょう。
アイチに言ったんじゃない....。
じゃあ、何に対して彼は言ったんだ？
──────────
表彰式。
ウルトラレアの三人からアイチ、カムイ、櫂、ミサキにメダルの授与がされる。トロフィーはカムイが持っている。
『ん？』
ウルトラレアのスイコさんが、アイチの耳元で何か言っている姿が目に入った。
言われて頬を染めるアイチ。
『ﾓﾔ)....近くない、あれ』
「あ？お前もしかしてっ.....！」
『ん？何？』
「(これはもしかすると......)いや、なんでもねえ」
なんなの？
というか、今なんでモヤっとしたんだろう？
でも、アイチとスイコさんの距離が近いのが気に入らないし、赤くなるのも気に入らない。
スイコさんが美人なのはわかるけ。
『......ホント、わかんない.......』
「(これは自分で気づかないと意味がないな。早く気づけるといいな、カサネ.......)」
チームQ4が、ヴァンガード全国大会へ出場を決めた日。
カサネの心に少しの変化が現れた。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年7月2日 22時
