◇再会のヴァンガード �� ページ10
『(櫂が、あんな表情するなんて久しぶりじゃない？)』
そんなことを思いながら、手を動かした。
三和とファイトしてる時は、修行！みたいな感じがしなくもないからなぁ。
アイチと櫂のファイト......なんで、そう思ったかはわからないけど......気になるファイトって事は間違いない。
「いいだろう。戦ってやる」
アイチからのファイトの誘いに応じる櫂は、心なしか楽しみといったような表情をしている。
「ちょっと待て！何言ってんだアイチ。ヴァンガードファイトなんてやったことないだろうが！デッキだって持ってないだろ」
「.....デッキなら....あるけど.....」
鞄からヴァンガードのデッキを取り出した。
櫂は、アイチを自分の席の前に座るように促す。三和が森川を横に追いやり、アイチが席に座れるようにする。アイチは、空いた席に鞄を置いて、隣の椅子に座った。
「気になるなら見てきたら？」
『いや、今はバイト中なので......』
「今は客が少ないから....私だけでも大丈夫だし、いいよ」
『........掃除しながらチラリと見る』
「(別に普通に見ればいいのに......)」
気になるが、今はバイト中。
お金をもらってる身なので、二人のファイトを見るっていうより、掃除をしながらチラリと様子を見るようにしたいと思う。
アイチはヴァンガードファイトが初なため櫂がルールを説明しながらやることになった。
「その前に、お前のデッキはこの″ブラスター・ブレード″が入っていて完成するものなのか？」
「はい、そうです」
ファイトを始める前に、櫂がアイチに一つ確認した。
アイチは、櫂の確認に真っ直ぐ頷いて答えた。
「.......いいぜ。貸してやる。俺にとっては余計なハンデだしな」
手元にあった″ブラスター・ブレード″をアイチの元に滑らせて、渡した櫂に「カッケェ」と心の中で思う。″ブラスター・ブレード″は、櫂の使っているクランとは違うクラン。そして、今からファイトをするのに調節も何もしていない。それも関係していると思う。
『(渡し方が、スムーズ)』
本当にカッコいいんだよね、カードを滑らせる技術。
私も前にノートを滑らせて、ツムギに向かってやったら上手くできなかったんだよね。
もしかして、何だけどカッケェと思ったのって、櫂の顔面偏差値も関係してる？
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
