◇再会のヴァンガード �� ページ9
櫂とファイトした森川のデッキの中には、彼のデッキの中に入っていなかったはずのカードがあった。
気になって、つい手元を止めて見てしまう。
それほどに、そのカードにはどこかひかれるものがあったのかもしれない。
『(″ブラスター・ブレード″).......』
数年前に見たことのあるカード。
確か、持っていたのは彼じゃなかったはずだが？
そのカードを見た時、櫂の表情が一瞬だったが変わったように見えた。気のせいかな？って思うぐらい一瞬だけ、眉を寄せたんだ。
勝負に勝った櫂は、そのカードをもらう。
それと同時にお店のドアが開いた。
入ってきたのは、青髪の少年。
森川達と同じ制服を着ているので中学生で.....、先日私のボールペンを拾ってくれた少年だった。
入ってきた少年は、森川を見つけて駆け寄って行く。
「僕のカードを返して」
「アイチ......」
お店に用事があったというより、森川達に用事があったみたい。
「森川君、お願いだよ....！大切なカードなんだ！」
「知るかよ、そんなもん.....」
「お前のカードってまさかそれか？」
三和が櫂の目の前にあるカードを指差した。青髪の少年.....アイチがほっとした表情をして、櫂の目の前にあるカードを取ろうとした。
けれど、櫂が先にカードを取った。
「返してください！」
「なぜ？これはもう俺のカードだ」
「お、おい」
椅子から立ち上がった櫂。
三和が、驚きながら声をかけた。
「俺達ヴァンガードファイターにとって、何より神聖なものがファイトの結果だ。そして、アイツはこのカードをかけて俺に挑み敗れた」
櫂の言葉に悔しそうな森川。
彼が、櫂に負けたのは本当の事で、今さっき起こった事だから。
「でも、それは僕の......」
「ヴァンガードファイトで失ったモノは、ファイトでしか取り返せない」
櫂の言葉に少し考えた様子のアイチは櫂を見て口を開く。「.....じゃ、じゃあ僕と戦ってくれますか.....？」と言ったアイチに驚いた。アイチの言葉に櫂は勿論、その場にいた全員が驚き少年を見る。
カウンターにいたミサキはすぐに本に目線をおとし、櫂と三和は「面白そう」というような表情をした。私はというと棚を整理しながら、耳と目線は櫂達の方に向けている。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
