◇日常に転生を �� ページ6
「『行ってきま〜す！』」
鍵を閉め、二人でマンション下まで向かう。
暫く一緒に歩いて行くが、ちょっとしたら別れて別々の道からそれぞれの学校へと歩いていく。
私は高校で、クロノは小学校。
中学校の時も同じような流れで、家から出て学校に向かってた。
『じゃあ、行ってくるね』
「うん、いってらっしゃい。俺も行ってきます」
『行ってらっしゃい』
クロノに手を振って、私は自身の高校へ通学路を歩き出した。時間帯は、私達と同じような学生や働くサラリーマン、OLの人達。
平日だから、朝から人通りがある場所。
これが、夕方でも人通りがあるのはどこも同じだ。
『(ハンバーグっていうリクエストもらったから、帰りスーパーに寄って来ないとだなぁ)』
ひき肉、玉ねぎ、卵、牛乳、パン粉、塩、胡椒。
ソースはデミグラスソース。
確か前にハンバーグを作った時は、ケチャップだった気がするから。後は気分だよね。
学校終わったら、ハンバーグの材料買って帰らないと。じゃないと、クロノのリクエストじゃない夕飯ができちゃうや。
「あの.....！」
『！』
後ろから声をかけられた。
びっくりして、振り向けば見覚えのある制服を着た少年がいた。うちの中学の、後江中学校の制服だ。
「これ、落としましたよ」
『え？』
少年の手には、ついさっきハンバーグの食材をメモしていたボールペン。高校入学時に新調した文房具の一つだ。ペンを入れていたポケットに触れれば、やっぱり差し出された私のペンだった。
『ありがとう、拾ってくれて！』
「いえ、渡せて良かったです」
差し出されたペンを受け取り、今度は落とさないように鞄の中にしまった。『じゃあ、行くね。本当にありがとう！』「はいっ」と手を振って、再び歩いて行く。後江高校、中学の校舎は離れているので、彼とそのまま同じ方面を歩いて行く事はない。
『(拾ってくれて助かったぁ)』
もし、学校で気づいてたら教室で、焦ること間違いなしだもの。その後、ショックで授業に響きそう。
『う〜ん.....？』
それにしても、あの少年.....。
気のせいかな、どこかで見たことあるような.....？
あの少年とは、
『また、会ったりしてね』
なーんて、予感がしたりする。
本当かはわからないけど。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
