◇広がるキミの世界 �� ページ20
新導カサネside
『むぅ.....先生の話に付き合わされて遅れた....！』
学校の帰り、小走りでカードキャピタルに向かう。
アルバイトの日だったのに、今日に限ってHRの時間が長くなるし、先生のしょーもない話に付き合わされるわで、めちゃくちゃ遅れた。
『え......ミサキがファイトしてる！？』
お店に入って目の前に飛び込んできたのは、アイチとヴァンガードファイトをしているミサキの姿だった。
「よお、カサネ。遅かったな」
『三和......。知ってるでしょ、私が先生の話に付き合わされていたこと』
「まあな」
『で、何でファイトしてるの？』
そう聞くと、最初から見てた井崎が説明してくれた。
″ファイトしたら良いものが見える″らしいとシンさんが、言ったそうなのだ。
それにしても、シンさんが言っていたミサキとファイトしたら見えるものって.....。
『ああ、なるほど....』
「カサネ、お前分かったのか？」
『うん』
シンさんの言いたい事が、わかった。
アイチは、櫂しか見ていない。
字ずら的には、恋愛な感じがするけど、そうではなく。アイチは、櫂ともう一回ファイトしたい。
だけど、それではアイチの視野を狭くする。
ヴァンガードのね？
シンさんは、アイチにもっと色んなファイトやカードのことを知って欲しいのだ。
「確かにな」
『アイチ、櫂にまっすぐだからね』
私が説明すると三和は頷いて、納得したようだ。
二人のファイトは、進んでいき勝ったのは、ミサキだった。
ファイトが終わり、ミサキはカウンターで本を読み、私は荷物をおいてエプロンを着けた。アイチは、カウンターに置いてあるヴァンガードを見つめる。
「(すごかったな、グレード3。今の僕のデッキじゃ敵いっこない....)」
「ミサキに負けましたねえ」
「は、はい」
「それで、何か見えました？」
「はい。.....まだまだ知らないことが多いなって。ヴァンガードの世界はもっとずっと広くて大きい.....」
「誰でも皆そうですけど、ヴァンガードを始めたばかりの頃は狭い世界しかわからない。でも、そのままでいるといつまでも強くなれない」
アイチはシンさんの話を黙って聞いている。
「それじゃあ、櫂君と戦えません」
「！....あ.....」
アイチも気づいたようだ。
「良かったです。良いことがみえて」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
