◇初恋プロローグ �� ページ13
「あ、あの.....！」
『はい？』
バイト中、ファイトを終えたであろうアイチが、カードを棚に並べていた私に声をかけてきた。声に反応し私は、返事をし振り返る。
『どうかしたの？』
「.....こ、これ！」
そう言って私に差し出してきたのは、牡丹色の御守り。「あの時、僕に渡してくれて、勇気が出ました！......ありがとうございます！！」とぎゅっと握りしめ、両手で大切そうに御守りを持っていてくれるアイチ。
「あ、それって.....」
私の横からミサキが、彼の持っている御守りを見たミサキは、気づいたようだ。
「お？なんだなんだ......って、それ！なんでアイチが持ってるんだ？」
私たちが話していることに気づいた三和と櫂が、こちらに来た。アイチの手元を見て驚いた表情と声を出す三和。彼らのファイトも終わったんだろう。
じゃなきゃ、ここに来てないよね。
「！」
「それがどうかしたのか？」
森川と井崎は、御守りを見て首を傾げている。
二人は見たことがないのだから当然。
ミサキと櫂、三和は見たことがあるだろう。
「これ、僕が櫂君とあった後に公園で、話しかけてくれた女の子から勇気が出るおまじないにって貰ったんだ......」
「......カサネ、あんたこいつと会ったこと会ったの？」
「それってどういう......？」
「その御守りは手作りなんだよ。.....俺も櫂もその色の御守りを見たことがある」
「あ、まさか！」
「なんだなんだ！？」
「はぁ.....この御守りを作ったのは、この子」
ミサキが言った言葉に、皆の視線が集まった。
彼女の言う通り、私がこれを作ったのは本当で肯定のために首を縦に振った。
「改めて、ありがとうございました！とっても嬉しかったです！」
『私はたいしたことないよ。........それに』
アイチの持つ御守りに目線を向ける。
少し縫い目がボロボロになっているけど、綺麗なまんまだ。
『大切に持っていてくれたみたいで嬉しいなあ。.....ありがとう！』
「！」
『？』
私がお礼を言うと頬を赤く染めて、下を向いたアイチ。
ど、どうしたんだろう！？
私は何かをやってしまった！？
『大丈夫！？どうかした？.......私、何かしちゃったかな？』
「い、いえ！！大丈夫ですっ！！(あ、あれ......？なんか顔が熱い？)」
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
