◇再会のヴァンガード �� ページ12
翌日。
まだ誰も来ていない店内で私とミサキは、いつものようにアルバイト中。お店の自動ドアが開く音と共に、カウンターにいる店長代理が一鳴き。
誰か来たんだ。
入り口の方を見ると昨日櫂とファイトした、アイチがお店にきた。
「.....こんにちは」
『こんにちは』
「いらっしゃい」
暗い表情のアイチは、元気がない。
どうしたんだろう？
「.....誰もいない.....」
「時間早いからね」
「そうか、そうだよね.....」
とぼとぼと歩き昨日、ファイトした席についたアイチは、溜め息をついく。
「あんた誰か待ってるの？」
「うん。でも、来ないかもしれない......。僕が勝ったせいで.......」
『いや、勝っただけで来ないとかないよ』
「え」
私の言葉に驚いて顔を上げるアイチに苦笑。
君の心配は、本当にはならないよ。『だって........ほら』とドアの方を向けば、「にゃ〜あ」と店長代理が泣いた。
ｳｨｰﾝ。
『来たからね』
ドアが丁度開き、櫂と三和がカードキャピタルに入ってきた。それを見て、アイチの顔が笑顔に変わる。
「櫂君！」
「よう、アイチ。何してたんだ？」
「よう！昨日の」
「あ、あの実はね.....」
「みなまで言うなって！今日は俺が相手してやろうか？」
櫂の登場に嬉しそうにするアイチ。
彼が話そうとする時、お店のドアが再び開いた。
「「「「『ん？』」」」」
「やっぱり今日は俺が相手してやるぜ」
「俺も俺も！」
「あ.....！」
入ってきたのは昨日、櫂にファイトで負けた森川と井崎。彼らは、櫂を見て驚きの声をあげた。
「「うわああああっ！！」」
「なんだ」
二人の反応で不機嫌そうな表情の櫂。
彼の表情を見て、つい笑ってしまった。
『櫂、怖がられてる....。ふふっ』
「お前は笑うな」
『痛っ....！チョップは止めて！』
「お前が笑うからだろ」
笑った私の頭に櫂がチョップをしてきた。
痛いけど痛すぎない感じのチョップ。
こういうところに優しさを感じるよ。
二人の登場にアイチは、さらに嬉しそうな表情をみせた。
ドアの開く音。
お客さんが、″カードキャピタル″に来たみたいだ。
「いらっしゃい」
『いらっしゃいませ！』
さあ、今日もにぎやかな店内になるね。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2023年6月22日 22時
