◇悪夢 ページ38
遠くから聞こえるサイレンの音。
赤い光は地面を照らす。
意識が朦朧として、体の感覚は鈍い。
全身が悲鳴をあげるほどに痛いのに悲鳴をあげようとも喉が、口が声が発せられる事がない。
いや、できない。
どくどくと何か赤いものが私から流れ出してきて、服を地面を赤く染め上げていく。段々と意識も痛覚も働かなくなってきて、痛いっていう言葉が出てこなくなった。
あの日は何を思っていたんだっけ.....?
何か思ってて、直前に楽しみにしていて、それでそれで視界が黒く黒く染まって、何も聞こえなくなったんだ。
──────────
『...ッ...!?!?』
目を開けて飛び起きた。
嫌な夢を見ていた気がしたのにそれがなんなのかは分からなくて、なのに嫌な気分で気持ち悪くなるようなもやもやした気分になる。
カーテンから光がこぼれ、今が朝なのは分かる。
これで夜だったっら全力で兄さんか、千歳に電話かけてた。
何か怖いもの。
《♪〜》
『!電話が来た?』
ベッドの横に置いておいた携帯電話をとって、表示されてる画面の文字は今私の話題に出ていた千歳。朝からなんだろうー?と首を傾げながら電話にでた。
『《もしもしーおはよ、千歳》』
「《おはよう、湖羽》」
『《どうしたの?こんな朝っぱらから》』
「《それがね.....嫌な夢を見たんだよ.....》」
『《嫌な夢?》』
電話の向こう側にいる千歳は朝の寒さにやられているのか、いつも以上に覇気がない。もしかして嫌な夢も関係しているのかも。
「《覚えてないけどね?私にとってスッゴい嫌な夢ってのは覚えてるの》」
『《奇遇だね。私もそんな感じでたった今起きたばっかりだよ》』
「《え?湖羽も?》」
『《うん、嫌すぎる夢だったよー......何にも覚えてないけどさ》』
思え出せないのが嫌すぎて逆にそれが気持ち悪い。
「《怖くなって電話したの》」
『《私も目覚めたのが夜だったら電話かけようとしてたよ》』
「《湖羽、苦手だもんね?こーいうホラー系》」
『《否定しません》』
じゃあ、後で学校でね?と電話を切って息を吐いた。
思ったよりも朝の夢でダメージを受けてたらしい。千歳と話せて落ち着いた。
『さ、朝の準備しないと』
伸びをしてから布団から出たリビングは寒かった。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時