◇隣の先輩 ページ32
真波山岳side
昨日から様子の可笑しかった先輩。
お化け屋敷では、先に行っちゃってはぐれてしまう。探して見つけたと思ったら、前みたいに階段から落ちそうになっていて、慌てて前みたいに助けられてホッとした。
バレーの試合ではあれ以上に跳んでいたのに階段だと咄嗟に動けないらしいと聞いた。それを三年間。怪我はした事ないみたいだけど。実際、先輩は運動神経抜群だ。
『福ちゃんの下から懐中電灯当てるのはやめてほしかった(真顔)』
「俺は先輩がお化け苦手なのが意外でした〜!」
逆に嬉々として、お化けの正体を解明しようとか平気でお化け屋敷の中を進んで行きそうだから。バレーやってるときみたいに楽しそうに進んで行くのかと思いきや、寧ろ嫌がるタイプ。どんなに嫌でも挑戦しようとするところが湖羽先輩ぽい。
『だって、恐いもんは恐い。もうなんか無理なんだよね(前世からホラーは受け付けないようにできてるんだよねー、発狂もんだ)』
「それでも入るんですね?」
『勿論!挑戦しないと勿体ないからね』
隣で楽しそうに話す先輩はもういつも通りに戻っていた。
楽しそうに俺の隣を歩いている。
千歳さんが前に「湖羽って基本鈍感&ポジティブなんだけど、たまにポンコツになるんだよね〜」と言っていたのは本当のこと。ついさっきまで千歳先輩が言っていたような事になっていたが、俺からしたらヤキモチを妬いてくれて俺しか知らない先輩の姿が見えて、可愛いかったのでいいのだけど。
「先輩、次どこ行きますか〜?」
『うーんとね.......』
と考えこんで偶々目に入ったポスターを見た先輩は、俺の方を向いた。これは決まったみたい。
『これ観に行こう!千歳達のミスコン.....!』
「確か、東堂さんも出るんでしたよね?」
『そうそう。安定の尽八.....!』
「去年も出たんだよー」と思い出すかのように話す先輩にそう言えば東堂さんがその話してたなぁとぼんやりと思い出す。
「湖羽先輩は出る事にはならなかったんですか?」
『私は嫌だよ、目立つの(人前に立つのはちょっと......)』
「苦手ですもんね」
『苦手じゃないよ、嫌』
嫌そうな表情の湖羽先輩を見て、つい笑ってしまった。
「あ、何で笑うのー」とムッとした顔をした彼女が可愛いと感じる。
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時