◇ヤキモチ ページ23
湖羽のクラスから移動して、湖羽の彼氏君である真波山岳君がいるクラスに足を運んだ。
「(んだけど.....)」
『ムスー).....早くクレープ頼もう』
「そうですね」
木兎の隣でムスッとしている湖羽。
原因はわかっている。
視界の端にいる俺よりも身長は低いが湖羽よりも背の高い生徒。雰囲気がフワッとしていて、ニコニコと笑顔でいるアホ毛が特徴の奴。
彼が真波山岳だろう。
湖羽のカレシ君。
その彼が何人かの女子生徒に囲まれているのだ。
「何、あれ東堂と同じ感じ?」
「クライマーなのは一緒で山を登るのが好きな子だよ」
「多分今年のインハイで注目集めたからね、真波。東堂と同じ感じとも言う.....」
「それにしても、湖羽さんがあんな風になるなんて珍しいと感じるんですが.....」
「生粋のバレー馬鹿だから....」
「俺何にしようかなーーー!バナナ、イチゴ?キャラメル....?悩むなァァァ〜〜!!」
『.....抹茶アイス乗せ、カスタードオンリー、ダブルクリーム....。こっちも捨てがたい.....』
俺達が後ろで話しているのに気づかず、木兎と湖羽はメニュー表とにらめっこ状態。文化祭にしては結構品揃えが多いクレープの種類に頭を悩ませているようだ。あういうところはものすごく似ている。
「お二人ともこの後も他のお店を回って食べ歩きするんですよね?お腹の配分考えてくださいね」
「『はーーい!』」
赤葦の言葉に二人して返す。
本当に思っているのかは不明だ。
なぜなら、湖羽の方は「二個ならセーフかな?」と呟いていて、木兎の方は「ギリギリセーフじゃねェか?」とか言う発言をしているのだ。
「私のオススメはキャラメルです!評判良いんですよ!」
「キャラメルかぁ〜〜.....。ダメだ!全部美味しそうで決まらねェよ!!!」
『それは私も同じなの!!うぅ〜〜どれにしよう....』
「あ、じゃあ真波にも聞きますか?」
『ムス)いいよ。聞かなくて....!忙しそうなので』
水樹野ちゃんの言葉に再び不機嫌な表情。
「(あ、珍しい....。湖羽さんがヤキモチ焼いてる)」
「(これは間違いなくヤキモチだ)」
千歳達を含め全員はわかっているこれは、ヤキモチという感情なのだと。
「(ヤキモチねぇ?湖羽にはあんまりない感情じゃない?)」
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時