排球部エースは転生少女《６》 (ページ48)

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◇遠く離れても届く手紙をページ48

巻ちゃんがイギリスに行く日。
それでもいつも通りの学校生活。

巻ちゃんからその報告を聞いた後は、久しぶりに懐かしい夢を見た。巻ちゃんと私の出会った時の話。私から声をかけて、尽八と巻ちゃんの第一印象は最悪ででも私も千歳も二人が良いライバルになることを知っていた。そうなるのを見てきた。

『.....起きなきゃ』

目覚まし時計を止めて、顔を洗っていつも通りの羽のヘアピンを着ける。朝御飯を食べて、制服に着替え、パーカーを羽織る。うちの学校パーカー着てる人ってそんなにいないんだよね。カーディガンは多いけど。千歳だってカーディガンだ。ショルダーバッグをかけて、家を出た。

「......湖羽のところに巻島君伝えに来たんだね」

『うん。何でもないことのよーに話して....』

ホントは巻ちゃんもきっと別れるのは寂しかったと思う。私達も寂しいし、小野田も憧れる先輩の背中が失くなって迷うと思う。それでも越えて行かないといけないんだよね。

朝練が終わり、教室に行けば尽八がいて、夏休みあけの席替えでもまた尽八の席の隣。確率が高すぎて、くじ引きの箱を疑っている。

「今日、発つのだな」

『うん』

「寂しいな.....」

『寂しいね』

いつもよりも暗い雰囲気の尽八。
この間の買い物で明るかったと言え、いざその日になるとちょっとテンションが下がるのもわかる。「手紙だせばいいよ」「ああ！そのつもりだ！」とハイライトのない瞳でいつも通りの表情をする尽八。しつこいぐらいに手紙を送れば、巻ちゃんも寂しくなくて、きっと嬉しいと思う。私も手紙だそう。

『うちに便箋ないな』

「買いに行こう！俺もほしいからな！」

『お手紙なんて久しぶりに書くから何て書こうか迷いそうだよ』

「俺もだ」

『！』

──────────

授業が始まって教室の時計に目をやる。

『.......(今頃、巻ちゃんは空の上かぁ.....)』

先生の話を流しながら、空を見上げた。
雲一つない空は眩しくて、巻ちゃんの飛んだ飛行機の周辺は雲があるかも知れない。チラリと隣を見れば、尽八の手には携帯があって、画面を開いている。

『(......来年のインハイ、小野田達の勝負観に帰ってきなよ？巻ちゃん)』

本当は春高で呼び戻そうかと思ったけど、忙しそうだからね？優勝って連絡を手紙に書いて送る事にするよ。

　