◇花火の音と君の進路 ページ42
『行ってらっしゃーい』
「湖羽、気をつけてね！転ばないように回り見て、気をつけて帰るんだよ！」
『私、小学生か！ちゃんと帰れますよーだ！君の方こそ楽しんできなよ』
「うん！」
つい先ほど連絡が来て、千歳を尽八の元へと送り出した。歩いて行く彼女の後ろ姿に手を振って、私は歩きだす。りんご飴を買って、どこかで休憩しようと歩きだす。ヒュ〜と空がひかり、目線を上げれば緑や青、黄色といった花火が咲いていた。りんご飴を噛れば、りんごの甘さが広がる。美味しい！
「よう」
『........え』
ふと一息つきたくて人の少ない所に移動。石段に腰を下ろして、花火を見ていた時。聞き覚えのある声がした。視線を前の方に向ければ、視界に映るのはスニーカー。ここにいる筈のない玉虫色の長髪の男がいた。にやけずらで千葉にいるよね？っていう巻ちゃんが立っていたのだ。
『ま、巻ちゃん！？え、何でいるの？』
「ちょっと用事が合ってな」
用、用事.....。
ここまで来て用事と言えば.....あ。
『尽八に？』
「ああ」
そうだよね、それが正解だよね。
何か用があって神奈川まで来るのなら、ライバルの尽八に用だろう。尽八にはもう会ったか聞けば、数十分前会ったそうだ。花火の時だって.....。今もガンガン花火打ち上げられてるけどね？ついさっき会ったのか。
「それとお前にだ」
『私に？』
私に用事？
尽八だけなら分かるが私にも？
『何の用事で？電話で伝える内容じゃないの？』
「これはお前と東堂には直接伝えないとって思ったショ」
『？』
いつになく真剣で巻ちゃんにとっての大切な話なのはわかった。きゅっと巾着の紐を掴み、背筋を伸ばした。周りの人は皆花火を観ていて、私達はお互いを見ている。
「──────」
『.......ぇ』
空に花が咲き続け、打ち上げ音で周りの音が聞こえない。けど、巻ちゃんの声は聞こえた。私達の周りだけ静かになったみたいな錯覚。巻ちゃんの言葉に驚き、目を見開いた。
『そ、れ.....ホント.....？』
「ああ、ホントの事だ」
『決まった.....事....？』
「決めてた事だ.....」
『そっ....かぁ.....』
花火の光に照らされた巻ちゃんの顔。
私に告げられた事ら、これからの彼の進路。
『......大学.....、イギリスに行くんだね』
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マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (
レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月20日 0時
