◇遅刻魔の不思議チャン ページ21
美園湖羽side
『インターハイ来ちゃったよ』
「ちょっと夢っぽい感じするよね」
『わかる』
合宿遠征と夏のインターハイが終わった私達。
今日はいよいよ尽八達のインターハイ一日目。
尽八と巻ちゃんのラストクライムの日だ。
画面越しかは観てた光景が目の前にあって、当日の朝何度もカレンダーとテレビで日付を確認した。それは千歳も同じだった。
「湖羽、適度に水分取りなよ?」
『わかって......ん??』
携帯電話が震えて、誰からか確認すれば尽八からだった。
『.......は??ち、遅刻.....!?』
「遅刻がどうかしたの?」
『あの不思議チャン、遅刻してるんだけどっ.....!?』
「えっ!?」
今、自転車乗ってスタート地点に向かおうとしてるって....。
バスは?寝坊したから乗ってないって.....。
「じ、地元開催でよかった....ね」
『じゃなかったら、まずいでしょ.....』
君の家が小田原だから、良かったものの.....もしこれで遠くの場所でのインハイだったら、マジでアウトなやつだよ。
真波、君のそういう所めちゃくちゃ怖いよ.....。
──────────
「やっぱり、暑いね....。蒸し暑い....」
『蝉が鳴いてる.....』
尽八から真波のとんでもない連絡が来た後。
私達は一日目の山岳リザルトライン前に着いていた。人も多くて、箱根学園自転車競技部の部員や応援団まで来ている。地元開催ってのもあり、去年よりも盛り上がっている。ここに来る途中に【神奈川、箱根、山神】という立派な横断幕があった。山神って、尽八のことだよね。すげぇな、尽八(美園湖羽も同様にすごい)。女子ファンたくさんだよ。
「スッゴく緊張するんだけど.....」
『わかる.....』
「この緊張感.....、たまんないですね!バレー時代を思いだしました!!」
「バレー前の緊張感を好きなのは奥山君だけだよ」
『同じく』
あの緊張感は苦手だ。コート入って、試合が始まればそんなことないけど。なぜか、隣にいる奥山君。ここら辺応援担当の奥山君は、私達の隣にスタンバってる。ここで一番最初にくるクライマーを待っているのだ。藤原達、少ししたの方で後輩たちと共に尽八が来た時に備えている。
「先輩達は東堂さんと総北の巻島さんの走りを見に来たんですよね?」
「『そうだよ』」
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マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月20日 0時