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神威がバスルームに姿を消してすぐ。
身振り手振りも激しく、辰羅族特有の耳をピクピク動かしながら言った。






黒「そのっ…僕は!!!」

黒「黒葉と言います!!!」

黒「辰羅族です!!」


黒「実はそのっ、…」

黒「A団長にお話がありまして!!!」



貴「…喧嘩なら買うよ?」



黒「え゛ッ?」

黒「いやいやッ、えッ!?」

黒「違いますよッ!!?」








元より戦闘狂のA。
海賊の新人なのだから下克上があっても可笑しくないと思っての事だったのだが、口元を隠していた白い布をずらして慌てて否定する黒葉を見ているとそうでは無いらしい。


Aが大人しく刀を鞘に納めると、安心したのか一息ついた黒葉。
そして、―――−−






黒「Aさん」

黒「僕は、僕はずっと」






「 貴方の事をお慕い申しておりましたっ 」






吐き出すようにそう言った黒葉。
流石のAも目を丸くした。





貴「は、い?」



黒「貴方は忘れられていると思いますが」

黒「僕達は1度だけお会いしていて、」


黒「その時に僕はっ貴方にッ」

黒「命を救われました!!!」


黒「…っもう一度お会いたいと」

黒「心より思っていました」



貴「え、…ちょっと待って?」



黒「僕は十分に待ちました」








グっと人一位分空いていた距離を詰めた黒葉。
Aの手を無理矢理取って、握り締める。






黒「僕を貴方の側に置いて下さい!!!」






その手はとても、熱いかった。





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作者名:み子 | 作成日時:2016年7月26日 20時

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