#14 ページ14
流石にこの場で出る訳にはいかない。
そう思って、拒否を押すか向こうが切るまで待つか。悩んでいると。
山「お友達なんじゃないの?出なくていいの?
別に俺らに気使ってんなら出ていいよ?」
どうしよう。
慧「出てあげたら?」
伊野尾くんにさえもそういわれてしまって、
出ざる得なくなってしまった。
「…もしもし」
早苗『A何で返信してくれないの?!
心配したじゃん!!』
「ご、ごめん。」
早苗『……で、今何処にいるの?家に居ないよね。』
早苗と私の家はとっても近い。私の家があるアパートの隣の隣のアパートだ。
だから分かるんだろう。でも、この前から引っ越した。私は。
事務所からとあるマンションの一室をお勧めされたのだ。
きっと、JUMPが来ても大丈夫なようにセキュリティは安全らしい。
そして、なんていっても関係者が多く住んでいるため出入りしてもなんとでも訳がつく。
もう、早苗とは関わらない。巻き込まない。巻き込まない。
実はそう決めていた。
ごめんね。ごめんね。
貴女が変わった訳じゃない。
私が変わってしまったの。
「ごめん。もう、私はそこに住んでない……」
早苗『え?ちょっ、A?』
だから、傷付かないでさっさと私のことなんて忘れてください。
「もう、早苗とは会わない。会えない。
私が悪いから早苗は気にしないで。バイバイ。」
そう言って電話を切った。
そして、慣れない手つきでLINEを消す。
家族、そして宮上さん以外の連絡先なんて知らない。
早苗…。
ごめんなさい。
【何かを得るためには何かを捨てなければならない。】
小さい頃は意味が分からなかったこの言葉。
今なら分かる。
泣きたくなるが泣くわけにはいかない。
私はこの道を選んだんだ。
学校でも会社でも正直馴染めずに生きてきた。
初めて社会の中で必要とされた私は、嬉しかった。
慧「Aちゃん。凄い子だねぇ。
普通そんな急には友達に別れを告げれないよ。」
「そ、そうですかね……」
慧「Aちゃん。完全プライベートで会う人いる?」
「いませんけど、毎日を仕事に捧げます。」
慧「ふーん。」
山「じゃあ、Aちゃんさ。明日遊び行っていい?」
「……いいですよ。」
33人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウキイハ | 作成日時:2019年1月13日 23時