狂う ページ20
泉side
ゾッとした。普段見知った相手の瞳が、濁った色をしていたから。
凛「……お兄様を泣かしたの？」
泉「違う！！」
くまくんがこちらに、一歩、二歩と近づいてくる。
一歩、二歩と下がる。突然冷たい物が背中にあった。それが、壁だということはすぐにわかった。
ドンッ！！
隣でそんな音がして、壁ドンされていることがわかった。
凛「お兄様の涙も、血も、匂いも、全部、ぜぇーんぶ俺のもの……♪例えせっちゃんでもあげない」
大きな窓から差し込む月の光が、くまくんの神秘的美しさをより一層強くしていて、それが一層怖かった。
A「……凛月」
暗闇でも凛と響く声。
清潔感のある香り。
纏う空気がその人がいるだけで、一変する。
こちらに近づいてきて、そのままくまくんを抱きしめた。
急なことで、びっくりした。
A「……ごめんね泉。俺の弟が粗相をしてしまって。りー。謝りなさい。」
抱きしめたのを離して、俺の方向にくまくんを向かした。
凛「……でも。でも！」
A「凛月」
凛「……ごめん……なさい」
その目は、悲しそうな瞳だった。
そのまま無言で、駐輪場まで行き、別れた。
Aside
鍵を返しに行って、帰ってくるときに凛月が壁ドンしていて、発した言葉に目を見開いた。
その時の記憶が曖昧だ。だけど、凛月の体温と、泉の怯えたような瞳だけが、強烈に覚えていた。
そのまま無言で泉のバイクが置いてある駐輪場まで行き、そこで別れた。
凛「……お兄様」
A「凛月。車、乗って」
凛月が助手席に乗った。
凛月の方に体を向き、手を広げたまま凛月を抱き寄せた。
A「ごめんね。ごめん。凛月」
多分、真緒が桜フェスで忙しかったり、俺もそっちの方に忙しかった。
寂しかったのかもしれない。それと同時に、凛月の嫉妬が見え隠れしていて、これは、なんとかしなければならない。
凛「……お兄様お願いします。最近血が吸えてないの。頂戴。ねぇお願い……」
凛月の顔は紅潮し、牙がキラリと輝く。
いつもスーツだったが、今日は黒ニットのカーディガンに、ワイシャツなので血で少し汚れてしまう。
仕方がない。
A「いいよ。」
ワイシャツのボタンを一つ、二つと外す。ニットのカーディガンを、肩からずり落ちた。
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味付けのり(プロフ) - 凛月LOVEさん» わわ！！ありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！頑張って更新します！！ (2020年1月5日 22時) (
レス) id: e8088cc444 (このIDを非表示/違反報告)
凛月LOVE - 面白いかったでござる!続き待ってるぞい! (2020年1月5日 18時) (レス) id: 64fc749647 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：味付けのり | 作成日時：2019年3月16日 19時
