51p.パンケーキ ページ6
大人の人と手を繋いで田んぼ道を歩いている夢
太陽の光がさんさんと降り注ぐ中、つば付きの帽子と虫取り網とカゴを身につけて誰かと虫取りしに行く＿＿＿そんな夢
何も考えずに陽炎が揺らめく道の先を見ながら歩いていると唐突に頭を撫でられた
ぐりぐりと頭を撫でる手が離れると僕は顔を見上げる
？『＿＿＿＿』
年老いているその人が何か言っている
だが何も聞き取れない。ただただ蝉の声が忙しなく鳴り響くだけであった。
でも、"彼"が優しい表情を僕に向けていたのを憶えている
あれ？"お爺ちゃんってどんな人"だっけ＿＿＿＿＿？
うっすらと瞼を開ける
懐かしい夢を見たなと思いながら重たい身体を起こして、まだ眠気眼な目を擦りながら僕は部屋を見渡す
昨晩、僕の部屋に居た犬神はどうやらいないようだ
そして今は何時だろうと時計を確認すると時計の針は11時半位を指していた
驚きと焦りで心拍数も上がり一気に目が覚める
完 全 に 大 遅 刻 だ ！ ！ ！
ヤバイ、本気でヤバイ。今は3時限目ぐらいだろうか？今から行くと4時限目か？と考えると同時に"何で誰も起こしてくれなかったんだよッ！"という苛立ちを覚えながら急いで身支度をする
慌ただしく部屋から出ると何かを焼いている音と甘い香りと共に「おはよう。よく眠れたかい？」とダイニングテーブルに頬杖をしている犬神が言う
音がしている台所の方に目を向けると虫歯伯爵もおり「もうちょいで出来っから待ってな！」と大きな声で言うと座れと言わんばかりに椅子を指し示した
A「いや、今それどころじゃないから！！」
本当に今はそれどころでは無いのだ
チャリで爆走すれば大丈夫だろうかと考えながら、自転車の鍵を探していると犬神が「あぁ」と何かを思い出したように口を開く
犬神「学校の方には、お休みする連絡を致しましたよ」
その言葉に僕は探す事を止めて犬神の方に顔を向き「どうやって？」と聞くと犬神はあっけからんとした表情で「電話で連絡したに決まっているじゃないか」と答えながら虫歯伯爵がテーブルに置いた焼き魚を口にする
電話で連絡をしただって？犬神が？というか学校側は声で不審に思わなかったのだろうか……
犬神「それに大事な話がしたくてね」
A「大事な話……？」
空いている席に座ると虫歯伯爵が僕の前に料理を置く
それは綺麗な琥珀色のメープルシロップとイチゴやラズベリーなどのベリー系がたっぷりとかかっており、分厚くてもふんわりと焼き上がった甘く香るパンケーキだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 37人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ソルべ(プロフ) - あめらぴさん» 評価やコメントなど誠にありがとうございます。好きと言われて嬉しい限りです！執筆の励みとなり、次をなるべく早く上げれるように頑張りますね。 (2022年7月29日 2時) (
レス) id: c758b8aa54 (このIDを非表示/違反報告)
あめらぴ(プロフ) - 夜遅くに突然すみません。好きです。物語の展開から主人公の心情、恐怖の感覚や焦燥が本当にお上手に書かれていて一気読みしてしまいました…キャラの口調も性格を理解した上でのもうに見えて、もうなんか凄く好きです……… (2022年7月28日 2時) (レス) @page6 id: 0688156f54 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
