○o｡..泡沫の中で..｡o② (ページ43)

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85p.特別な物ページ43

『なぁに、取って食おうだなんてしないさ』

ふわりと柔らかい何かに頬を撫でられ"あ、かなり近い"と身体がこわばり息を呑む
ざわざわと風に揺れて擦れる葉の音、日が暮れて暗くなっても灯りの無い古い神社に姿が見えずの声だけの正体不明の妖怪。
早くココから逃げ出したい気持ちがあるが何か知っていたらと思うとこの場から離れるのは良い案では無い
僕は恐る恐る「ある。知ってる」とだけ口にすると妖怪は『それは何処で？』と両肩を掴まれ耳元で囁かれる
どこで……？何処で知ったかって？そりゃあ犬神に＿＿＿あぁ、いや待て、コレって答えて良い質問なのか？そもそも何でそんな質問してんだ？ヤバイもんでもないでしょ？
…………そうだよね？
そんな時、ふと、虫歯伯爵が前に口にした言葉が脳裏によぎった。

"オレはお前の"ソレ"については知らねぇ"

確かあの時、僕が再び召喚が出来るかどうか聞いた時にそんな事を言っていた気がする
あの時の自分は他に種類があるんだろうと勝手に納得してたけど、それでも普通は"ソレ"呼びするか？種類があったらその呼び方するよな？多分。
途端に自身が持っているの妖怪ウォッチに不安を憶え、何も答えられず俯いていると溜息をはかれた

『ま、別にいいさ。ボクにとって関係ないし』

肩から掴まれていた感覚が無くなり声が少し遠くなる
あぁ、自分から離れたのだと僕は理解すると平然を装いながら緊張で無意識に止めいていたであろう息を吐いた
何だよそれ、ただの好奇心で聞いたってのか？と言葉にしたいが口にせずに飲み込む
だが、この妖怪が僕の妖怪ウォッチについて何か知っている事は確かだ

A「えっと…妖怪ウォッチに何かヤバイ秘密とかあるの？」

『知りたいかい？』

真剣そうな声色で返ってきた言葉に僕は何も言わずに頷いた
世の中には知らない方が良いって事があるのを知っている
でも、犬神との約束があるから知っといて損はないはずだし、使い続けるんなら尚更知らなければならない
といっても、話半分くらいで聞いておくのがいいかもしれない
妖怪にも悪い奴がいるから嘘の可能性だってあるし

『いいよ、教えてあげる。キミが持ってるアレはある意味で"特別な物"とだけ言っておくよ。詳しくはアイツに聞いてみな。素直に答えてくれかは別だけどねェ……それに、あんまり使わない方が良い。だってキミはここ＿＿＿』

急に言葉が止まって静寂が訪れる
妖怪が何を言おうとしたのか気になった僕は「あの」と声をかけるが返事は無い