47p.暗闇に溶け込む ページ2
犬神「さて、私達も行きましょうか」
犬神は優しい声色でふわりと浮きながら僕の前に行き、コチラに振り向いて手を差し伸べる
窓からさす月明かりが差し伸べた手だけを照らしていて犬神自身には影がかかっており真紅のように紅い瞳が視線を逸らさずにジッと僕を捉えていた………何だか少し胸騒ぎがする
だが僕は「あぁ、うん。そうだね」と言いながら差し出された手を取ろうとした
その瞬間、ガシャーン！！と廊下に響き渡るほどの硝子が割れる大きな音と共に僕と犬神の間に何かが勢い良く割って入り、驚いた僕は反射的に手を引っ込める
なんだ？！と思いながら割って入った何かを見るとそれは見た事がある黒い三叉槍が廊下に突き刺さっていた。
確かコレは＿＿＿＿と思っていると「何とか無事で良かったぜ」と知っている声が耳に入り
声がした方へ振り向くと悪魔の様な姿の妖怪がいて、僕は彼の名前を呼んだ
A「虫歯伯爵……！」
彼はコチラに近づき、よっこいせと言いながら突き刺さっている槍を引き抜く
そして引き抜いた槍を犬神に向けて構えた
犬神「これは……一体どういうおつもりで？」
虫歯伯爵「んな事、自分自身がよ〜くわかってるのではないか？」
犬神は口を閉ざし虫歯伯爵を睨みつけるが虫歯伯爵は冷や汗をかきながらも構えている槍は下ろさない
僕は困惑した表情をしながら交互に彼らの顔を見る
何で？どうして？虫歯伯爵は犬神に槍を向けているんだ？
二人に声を掛けようとしたが、僕の後ろにいたみちび鬼が僕の腕を掴む
その手は少し震えていてみちび鬼の方へ目線をやると怯えているようだった。
虫歯伯爵「教えてもらおうか。なぁ？」
槍先を向けながらそう言った虫歯伯爵に犬神は溜息混じりに「そうか」と呟くと彼を睨んでいた犬神の紅い瞳の視線が僕の方へ向く
すると何かが僕の頬をシュッと掠めた。
掠めた箇所が熱を帯びると同時に何かが垂れるのを肌で感じる
触れてみるとぬるりとした感触と痛みが走り、頬に触れていた手を離して掌を見ると赤いものが付着していた
サァーと血の気が引く。
その様子を見た虫歯伯爵は「ッ！テメェ！」と犬神に声を荒げたが犬神は「何、ただの掠り傷じゃないか」と落ち着いた声で言い返す
何故、犬神は僕を攻撃したのか理由が解らなくて小さく「犬神？」と名前を呟くと犬神はフッと失笑してユラユラと陽炎のように揺れながら暗闇に溶け込むように消えていく
犬神「残念ながら私は貴様が知る犬神ではない」
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ソルべ(プロフ) - あめらぴさん» 評価やコメントなど誠にありがとうございます。好きと言われて嬉しい限りです！執筆の励みとなり、次をなるべく早く上げれるように頑張りますね。 (2022年7月29日 2時) (
レス) id: c758b8aa54 (このIDを非表示/違反報告)
あめらぴ(プロフ) - 夜遅くに突然すみません。好きです。物語の展開から主人公の心情、恐怖の感覚や焦燥が本当にお上手に書かれていて一気読みしてしまいました…キャラの口調も性格を理解した上でのもうに見えて、もうなんか凄く好きです……… (2022年7月28日 2時) (レス) @page6 id: 0688156f54 (このIDを非表示/違反報告)
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