私の近所は雄英高校 (ページ5)

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強い女ページ5

私は創ちゃんに駆け寄ると、｢どうしたの？大丈夫？｣と声をかけた。
創ちゃんは髪を引っ張られた部分を押さえながら顔をしかめて、｢ありがとう……大丈夫。｣と言った。
そして、立ち上がると、上級生達の背中をめがけてものすごい勢いで走り出すと、｢うら若い乙女の髪を引っ張って起きながら何の詫びもせずに立ち去るとか何様のつもりだってんだよ、クソガキども!!!｣と、鬼神のごとき形相で、自分の髪を引っ張った上級生に向けてドロップキックを放った。
背中からドロップキックをもろに食らった上級生はくぐもったうめき声をあげ、前に屈みこんだ。
｢なッ！何すんだよ！｣
蹴られた上級生はしゃがみこみながら私たちを涙目で睨め上げた。
｢当然の報いでしょ。てゆーか、女子の髪を引っ張って罪悪感とか感じないわけ？｣
創ちゃんは冷たい目で見下ろすと、｢これ以上関わってきたら今度は個性使って相手するから｣と、言った。
相当怒っているようだった。
上級生は泣きながら走って行ってしまった。

これは後日談になるが、創ちゃんの髪を引っ張った上級生男子は、創ちゃんの事が好きだったらしい。
好きな子に対してどんな風に接すればいいか分からない、というのはよく聞く話だが、なんともはた迷惑な好意だ。
創ちゃんいわく、｢髪は女の命！｣らしく、他の子達の間でも創ちゃんが髪を大切に思っていることは有名だったらしい。
この件は、なぜかあっという間に校内に広がり、あの上級生男子は先生に呼び出されることとなった。(ドロップキックを放った創ちゃんには何の呼び出しもなかった)
そして、四年間友達という友達がいなかった(名前すら覚えてないのだから当然だが)私にも友達が出来た。
あの日から、創ちゃんは私に｢アイちゃん、アイちゃん！アイちゃん!!｣と頻繁に声をかけるようになり、性格も含め色々と真逆な私たちはなぜかとてつもなく仲が良くなった。

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