私の近所は雄英高校 (ページ3)

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私の近所は雄英高校ページ3

私と目を合わせた瞬間に、おじさんは糸が切れたあやつり人形のように倒れたのだ。

そう、目を合わせた瞬間に。

私は驚くと同時に、恐怖に駆られた。
人が倒れるところなんて見たことがなかった。
おじさんの肩を揺すり、声をかける。
おじさんは動かなかった。
私の恐怖心は更に高まる。
動悸がおさまらず、呼吸が乱れる。
｢パパ……。パパァー！｣
震える声で助けを求めた。
すぐに、廊下を走る音が聞こえ、部屋の扉が開いた。
パパは、私の顔とおじさんを交互に見て、すぐにおじさんの傍に駆け寄ると｢サングラスを外した？｣と私に問いかけた。
私は躊躇いがちに頷いた。
なぜか涙が出そうだった。
パパは厳しい顔をして、おじさんに呼びかけたり、口元に手をやって呼吸があるかどうかを確かめたりした。
そして、スマホを取り出して救急車を呼んだ。

おじさんは救急車で病院に搬送された。
おじさんの心臓は止まっていたらしい。
ただ、搬送されてからしばらくしてまた心臓が動き出したそうだ。
不整脈の疑いがあるとかなんとかでしばらく入院するらしい。
パパはおじさんが搬送されたあと、私の肩を掴んで｢お前の個性は人を殺す｣と真剣な顔をして言った。
その日、夜眠る前に、パパは｢今日は夜更かしＯＫ！｣と言って、わたし用にカップアイスとスプーンを机に置いて、パパ用にコーヒーを淹れた。
｢さて、今日引っ越しのおじさんが病院に連れていかれたね。｣
｢うん｣
｢なんでおじさんが倒れてしまったんだと思う？｣
｢……分からない。｣
｢それはね……アイの個性のせいなんだよ。アイの個性はね、目があった人の動きを止める個性なんだ。でもね、サングラスや眼鏡とかみたいな、相手の目と自分の目の間を隔てる何かしらの物体があれば、相手と目があっても個性は発動しない。だから、サングラスをかけてほしいんだ。わかるか？｣
パパが話していたことには私の分からない単語が多すぎて、ちゃんとは分からなかったけれど、自分の個性のことと、サングラスをつけないといけないことは分かった。
私は｢分かった｣とパパに言い、アイスを一口食べた。
パパはコーヒーをすすった。
｢アイはさ、ヒーローになりたくない？｣
｢……よく分からない。｣
｢ヒーローになりたいんだったら、大きくなったら雄英高校って言う、この家の近所の高校に入学しようか。……パパの母校なんだ♪｣