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「食べられない」
彩花が答えた。
「いつ頃から？」
「２週間くらい前から」
この言葉を聞いて、一緒に暮らしていながらも妻の変化に気づけなかったことに、後悔の念が浮かんできた。
最近はドラマでも、出番の多い役を任されるようになったため、忙しくて家にいる時間が少なかったのは事実だが、仕事を理由には出来ない。
「そうなんだね。でも、波瑠くんには食べさせてるんだろ？一緒に食べるのも無理か？」
「少しだけなら食べてる」
それを聞いた基先生は、少し表情が和らいだ。
「オッケー。お前はそれを続けていればいいよ。無理しないで、食べられるものを、食べられる分だけ食べて。で、今回みたいに倒れて家族に心配をかけるのが嫌なら、週に一回、ここに来て」
そう言われた彩花は先生の顔を見て
「わかりました。よろしくお願いします」
と答えた。
「うーん……食べられないのね。そっかそっか。あ、絵本のお仕事も増えてきたね。今日は打ち合わせだったんだよね。もしかして、担当の人が変わったりした？」
基先生がこう言うと、一瞬彩花の目が揺らいだ気がした。しばらくして、彩花は口を開く。
「替わったわけで無いんだけど……今までと違う出版社からも絵本を出すことになったから」
「初めて会う人が多い？」
「うん……こんなことでへこたれている場合じゃないですよね。普段は大丈夫でも、時々怖くなっちゃう」
頷いた基先生は、
「そうか。怖くなるのね…じゃあ今度、またお喋りしに来てよ」
と明るく言った。
二人の間で繰り返されてきた、この「お喋り」の時間こそが、中学時代の彩花の、凍ってしまった心を融かしてきたものなのだろう。
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Sahya(プロフ) - 叶夢さん» ありがとうございます！更新は遅いかもしれませんが、こつこつ書き進めていきますので、また来てくださいね！ (2015年3月5日 18時) (
レス) id: 32fd72d95d (このIDを非表示/違反報告)
Sahya(プロフ) - PPさん» ありがとうございます！最近は更新が滞ってしまって申し訳ありません。少し時間が出来たので、これから書き進めていきます。また来てくださいね。お待ちしています！ (2015年3月5日 18時) (レス) id: 32fd72d95d (このIDを非表示/違反報告)
叶夢(プロフ) - はじめまして。いい作品です！ (2015年3月5日 18時) (レス) id: 093db42f06 (このIDを非表示/違反報告)
PP(プロフ) - 初めまして。Sahyaさんの文章に目が止まり、一気に読みました。続きがとても気になります。とても優しい、丁寧な文章に惹かれます。続き楽しみにしてます！ (2015年3月4日 12時) (レス) id: 833a9907ff (このIDを非表示/違反報告)
Sahya(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はじめまして。読んでいただいたんですね。ありがとうございます。少し手直しをしてみましたが、風景を描くのは難しくて…少しでも想像が膨らむような文章を書けるようになりたいと思います。これからも良かったら読んでいってくださいね。お待ちしています。 (2015年1月6日 10時) (レス) id: c520266073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Sahya | 作成日時：2015年1月5日 11時
