三十七枚 ページ44
「で、どうだった？」
休み明けの学校にて。
昼休み、私は国見君と空き教室にいた。
『勝ちました』
何故だか気恥ずかしくて、少し目を逸らしながら答えた。
「ねぇ、前も言ったけど反応薄くない？」
『そうかな？』
「他も色々と」
はぁ、と国見君は溜息を吐きながら言った。
他もか……思い当たる節が全くない。
『そうですかね……。まだ東日本の代表になれただけで、来月挑戦者決定戦があるから気を引き締めないと』
分からないので、一先ず思考は放棄した。
「東日本の代表……」
国見君は窓の外を見て小さく呟いた。
遠い目をしたかと思えば、こちらに振り返る。
「実はさ、凄い奴だよね」
Aって、と。
これまた突然ですね。
振り向き様にとは。
心臓に悪いから控えて欲しいものだ。
何も返せない私を不審に思ったのか、国見君は顔を覗き込んできた。
顔に熱が集まってくるのが分かる。
『な、んでございましょうか』
「はは、何それ」
揶揄っているのかな？ だとしたらご遠慮願いたい。
そして国見君は笑った後、ひと息ついた。
「あのさ」
私は視線を向けて反応をする。
「大会の結果、聞いたでしょ？」
『うん』
お姉ちゃんから聞いていると分かっているんだろう。実際、予選が終わり家に帰ってすぐに聞いた。
お姉ちゃんのチームが勝ったって。
こころなしか、国見君の表情が陰ったように見える。
それでもためらわずに、私は口を開く。
『ギリギリだったって。凄いねぇ』
「え、それだけ？」
『うーん。烏野の頑張りはお姉ちゃんを見てたら分かる。そして青城の強さも、勿論知ってるよ。そんな人達がそれ程まで戦ったのは凄いと思う』
「ふーん」
少し面白くなさそうな感じだ。
『私、ライバルがいるんだけど』
「うん」
『あまり勝てなくて』
「珍しいな」
『そんなことないよ。いつも試合の後、次は絶対に勝つ！ って宣言し合うんだ』
その様子を思い出し、笑いがこみ上げてきそうになる。
「へぇ……(何となく目に浮かぶ)」
『国見君もでしょう？』
「？」
『次は勝つよね？』
この言葉に、国見君は目を見開いた。そして
「当たり前」
言葉通り、何気ないように答えた。
それに私は微笑んだ。
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藍原(プロフ) - 返信が遅れてごめんなさい！ 読みやすいと言って頂けて本当に嬉しいです(^^) コメントありがとうございます！！ (2019年4月10日 20時) (
レス) id: 29ee75d256 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずみかん(プロフ) - すごく面白かったです！すごく読みやすくて、楽しく読まさしてもらいました！ (2019年3月19日 10時) (レス) id: 0f93b089e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍原 | 作成日時：2018年2月6日 18時
