二十六枚 ページ32
A side
今日もかるた会でコテンパンにやられた。
かろうじて一勝。あとは二敗。
自室のベットに顔を埋める。
これまで恋愛がどうなんて考えてなかったのに、今では頭の中の半分がその悩みだ。
難しい。
深く溜息を吐いていると、部屋のドアがノックされた。
「A。入ってもいい？」
『いいよー』
ガチャ、とドアが開いてお姉ちゃんが部屋へと入る。
「ねぇ、何か悩んでない？」
開口1番がそれか。やっぱりお姉ちゃんには敵わない。
『あのね、恋愛って何？』
「えっ……」
お姉ちゃんの表情には驚きと戸惑い。
そうだよね、自分でも驚いているから。
『最近、よく考えるんだ』
「好きな人、でも出来たの……？」
『いや全く』
するとお姉ちゃんはホッ、としたように一息ついた。
「恋愛がどうかは分からないけど……好きな人なら、その人の事を考えるとドキドキするとか？」
『ほうほう』
「その人と一緒にいたい、と思ったり」
『…………』
「そんな感じじゃないかな。というか、哲学的な質問だね」
『うん……ねぇ、それ実体験？』
経験者のような言い方ではないか。
「えっ」
『いえ、やはり何でも』
「聞いてきたのはAでしょ」
聞かないで、という雰囲気を察知。
『そうですね』
「で、何があったの？」
何かじゃなくて何がの辺り、何かがあったのは前提なんですね。
『告白されたんだ。断ったんだけど、相手が全然知らない人で』
「……そう。賢明な判断だよ」
『なら良かった。でも、見知らぬ人に告白するっていうのがよくわからなくて』
これが1番の疑問だ。
お姉ちゃんは少し考え込む。
「Aにとっては全く知らない人でも、相手はAを見ていたんだよ」
『えっ、ホラー？』
つい、ぽろっと本音が落ちた。
「そうだね」
えっ、そうなの！？
「きっと、好きの形は色々あるんだよ。
だけど、見知らぬ人に告白されてすぐOKするのは良くないよ」
言い聞かすような口調だ。
『もちろん。肝に銘じます』
「ならよろしい」
そしてお姉ちゃんはふふ、と笑った。
「それじゃあ、おやすみ」
『おやすみ〜』
パタン、とドアが閉まった。
悩みは意外とあっさり答えが出た。
本当、お姉ちゃんは凄いなぁ。
____しかし悩みは尽きないもので、一悩み去ってまた一悩みやってくる。
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藍原(プロフ) - 返信が遅れてごめんなさい！ 読みやすいと言って頂けて本当に嬉しいです(^^) コメントありがとうございます！！ (2019年4月10日 20時) (
レス) id: 29ee75d256 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずみかん(プロフ) - すごく面白かったです！すごく読みやすくて、楽しく読まさしてもらいました！ (2019年3月19日 10時) (レス) id: 0f93b089e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍原 | 作成日時：2018年2月6日 18時
