番外編 夏合宿 in東京 ページ22
高校選手権の翌日。
私と志穂さんは新幹線に乗っていた。
というのも、私達の所属する仙台冬雪会の合宿が今日から東京で行われるからだ。
志穂さんは弟さんのインターハイを初日に見に行くらしいけど。
「Aちゃん、もう東京駅に着くよ」
志穂さんは都会の諸々に慣れているらしく、頼りになる。
『はーい』
新幹線を降り、駅の中へ入るとそこは人だらけ。
迷う予感しかしません!(満面の笑み)
*
なんとか電車に乗れた。
「私の行くところは合宿所の先にあるから、駅までは大丈夫だね」
志穂さんは安心したような表情をした。
『ですねー』
「ねぇ、本当に合宿所まで行ける?いつもと違う場所だよ?」
『だーかーら、私もう高校生!近江まで1人で行けましたよ』
「そりゃあ近江は毎年行ってるもの」
『志穂さんは弟さんの大会観るんでしょう?私は大丈夫だから、楽しんでください!』
ここでグッと親指を立ててみせる。それでも志穂さんは心配そうだ。
話をしている内に、降りる駅に着いた。
『それじゃあ、また合宿で会いましょう』
「だね。気を付けてね!」
それに返事をしようとしたがひと足遅く、ドアが閉まったので手を振ることにした。
*
さっきの元気はどこにいったのか。
私は迷子です。
携帯の充電がないので使えません。
あまりの危機的状況に、失笑すら出ない。
やってしまった。
しかし、私は迷子になったら運が良くなるらしい。
必ず誰かと出会うのだ。
とは言っても、今回はおみくじで例えるならきょ……吉だ。
「うわっ、元クイーン」
曲がり角での遭遇。
『あ、すお、とうさん!』
「誤魔化せてねぇし!だからすおうじゃ名人になるからヤメロ!」
『失礼致しました。須藤さん、偶然ですね』
「2日連続で元クイーンと会うとか……最悪!」
相変わらずの物言いに、ついムッとしてしまう。
『私だって会いたい訳じゃ……あ!』
「なんだよ」
つい声を上げると、須藤さんは怪訝そうな顔をした。
『須藤さんって東京の人ですよね?』
「はぁ?だから?」
『道に迷ったんですけど、少ーし教えて貰えませんか?』
「なんで教えなきゃなんねぇんだよ」
そこをなんとか、と粘っていると、後ろから須藤さんを呼ぶ声がした。
「あれ、須藤じゃねぇか?久しぶりだな」
「……黒尾か」
東京すごい。
トサカ頭って。←
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
藍原(プロフ) - 返信が遅れてごめんなさい! 読みやすいと言って頂けて本当に嬉しいです(^^) コメントありがとうございます!! (2019年4月10日 20時) (レス) id: 29ee75d256 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずみかん(プロフ) - すごく面白かったです!すごく読みやすくて、楽しく読まさしてもらいました! (2019年3月19日 10時) (レス) id: 0f93b089e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍原 | 作成日時:2018年2月6日 18時