十五枚 ページ16
半年振りのかるた大会から3日。
放課後、課題を終わらせてしまおうと教室に残っていると、担任の先生に手伝いを頼まれた。
そして1人では時間がかかるだろう、とたまたま教室にいた国見君も一緒に頼まれた。
『あ、先生、国見君部活……』
声が小さかったのか、先生はそのまま行ってしまった。
「いいよ、今日はないから」
『そうなんだ』
早くやろ、と国見君は椅子に座る。
私はそれに答え、プリントをまとめ始めた。
『昨日も大会あったんだよね。お疲れ様です』
「うん。」
負けたけど、なんて国見君は言う。
『そっか。それでも凄いよ』
「んー。ねぇ、かるたってどんなの?」
『え、どんなのって……』
漠然とした質問に、少し悩む。
「クイーン、なんでしょ?あ、元か」
大抵の人が気を遣ってくることを、国見君はさらっと言いのけた。
『うん。そうだねぇ……』
*
「分かった。分かったから、一旦ストップ」
『はい』
つい長く語ってしまった。手元を確認すれば、プリントの束ができ上がっていた。
「軽率に出すべき話題じゃなかった……」
『あはは、ごめんね。私、かるたの事になると止まらないらしいから』
「早く言え。んで、土曜の大会はどうだったの?」
『勝ったよ。』
あっさりと言った私に対し、国見君は拍子抜けしたような顔をする。
「勝ったって……優勝?」
『うん』
「その割には結構普通じゃね?」
『そうかな?これでも喜んでるよ。でも、これから色んな大会があるからね』
「ふーん。プリント出来たし、帰るか」
『そうだね』
2人で職員室へプリントを持っていくことになり、席を立つ。
並んで歩きながら、ふと思った。
国見君て、こう言ったら悪いけど、他人に興味無さそうなのによくかるたの話聞いてくれたなぁ。
気まぐれなのだろうか。
私は不思議に思いながら、プリントを持って歩いた。
*
先生にプリントを渡し、下駄箱に向かう途中。
『そうだ』
「?」
私はゴソゴソと鞄を探る。
『はい、この前のお礼。フルーツサンドは好みが別れるらしいので飴にします』
「あぁ。どーも」
国見君に渡したのは、最近はまっている飴だ。丁度良いと思い、今渡すことにした。
「って何これ。要らないもの?」
『失礼な。これも好きな食べ物だよ』
「え。プリン味の飴が?」
イマイチな反応をされた。
美味しいのにな。
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藍原(プロフ) - 返信が遅れてごめんなさい! 読みやすいと言って頂けて本当に嬉しいです(^^) コメントありがとうございます!! (2019年4月10日 20時) (レス) id: 29ee75d256 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずみかん(プロフ) - すごく面白かったです!すごく読みやすくて、楽しく読まさしてもらいました! (2019年3月19日 10時) (レス) id: 0f93b089e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍原 | 作成日時:2018年2月6日 18時