recoup【紫】 (ページ12)

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写真を見ても思い出せない。

どうしたらいいんだよ…。

そう心の中で叫ぶ俺がいた。

涙目に、今にも消えそうなくらい、くしゃっと顔を歪ませて。

『………時間』

うつむいている俺に、彼女が口を開け、言い出した。

俺は彼女の方へ向く。

『…大丈夫ですか……？…というかこんな私に時間を潰さなくても……。私、貴方のこと何も覚えてないんですよ……』

俺はカッときた。

自分の顔に熱が集中する。

ガタッと、座っていた椅子から立ち上がった。

「……俺がここにいる理由に記憶とかそんなん関係ないわっ！俺が好きでここにいるんやから…！おまんにはわからんやろうけど、俺はAのことが好きでここにいるんやで…！？」

彼女の顔がますます青白くなっていく。

「…あっ…、ごめ…、そんなつもりは……」

完全にしくじった。

そんなつもりはなかったんやけど……。