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姉を日本の別荘に送り、宅急便が来るのを待つ。
海外から届く荷物を受け取るのだ。
日本にいるのは今回は2〜3ヶ月らしい。
届く荷物に毎回のように僕へのお土産も入っているので、いつからか荷物が届いてから家に帰ることにしていた。
きっと今回も服だろうな。
ライブで姉が作った衣装を着ると、すごく喜んでくれるんだ。
珈琲を入れソファーでひと息ついていると、姉が隣にやってきた。
『あーあーあー』
僕の袖を引いて音階をなぞる姉。
歌とも言えないそれは、僕に歌ってって言う時のサインだ。
「うん、姉ちゃんおかえりのうたを歌おうか！」
姉に求められるのは好きだ。与えられるのも好きだ。
「チャイムが鳴るまでね、たくさん聞いて！」
歌詞は理解できなくても音を聴いて楽しんでくれる。
姉の屈託のない笑顔が僕は大好きだった。
オリジナル曲、カバー曲。
僕はたくさんの曲を知ってるから。覚えるから。
だから姉ちゃんは僕の歌で笑ってね。
そう願いを込めて。
ピンポーン
チャイムが鳴ったのは30分程歌った頃だった。
飽きること無く僕の歌を聞き続けてくれた姉は拍手をしてくれる。
そのまま流れるように玄関を指さして微笑んで席を立つ。
荷物はきっとひとりじゃ運べないから僕も姉をおって玄関へと向かった。
「お荷物3箱ですね。こちらにサインをお願いします！」
元気な宅配便のお兄さんは受取印欄に丸をつけてペンと紙を姉に渡す。
先にも言った通り、姉は自分の名前をデザインとして覚えているのでサインくらい書けるのだ。
姉が受取印に名前を書いている間に僕はお兄さんから荷物を受け取る。
運び終わる頃には姉はサインを終えていた。
「はい、3つたしかに。ありがとうございましたー！」
「はーい、またお願いしまーす！」
元気なお兄さんに対して僕も元気に返事をしてから、部屋に戻る。
「姉ちゃん、今度はどんなお土産〜？」
ふわふわと声をはずませながらダンボールを開ければ、姉もにこにこと別の箱を開け始める。
僕の箱には服がたくさん、姉の箱には許可証と食べ物が入っている。
もうひとつの箱もどうやら服や装飾品のようだ。
ひとしきり荷物を取りだしたあと、姉は笑顔で僕に服をあてる。
どうやら今から、二箱分のファッションショーが始まるらしい。
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作者名：くま | 作成日時：2023年1月16日 21時
