【歌い手】頑張りすぎな姉の話【天月】 (ページ1)

今日:14 hit、昨日:20 hit、合計:13,067 hit

1 ページ1

．

僕の姉はファッションデザイナーとして世界を飛び回ってる。

僕が高校生の時、大学卒業と共に世界へ進出。
大学時代に日本の賞は総ナメし、世界に認められた誇るべき姉だ。

ブランドを立ち上げたのは僕が大学生の時だったか。
今では日本、ニューヨーク、フランスの3箇所を拠点に世界規模のブランドを立ち上げた若きカリスマデザイナーだ。

そんな姉が、今日日本に帰国する。

ファンには帰国日を伝えていないので迎えは家族である僕だけ。
帰国日は姉は休み扱いなので、日本支社の会社の人は迎えに来ないようだ。

「姉ちゃん、こっち！」

予めマネージャーさんに聞いていた便を確認し到着口を電光掲示板で確認していたので、ゲートから出てくる姉の姿はすぐに発見できた。

僕が声を掛ければ姉は手を上げこちらに寄ってくる。

「じゃあ行こうか、何か食べたいものある？」

ゆっくりと柔らかい声を意識しながら、手で物を食べる動きをする。
その後お腹をさすり、柱にあるご飯屋さんのメニューを指刺す。

柱を眺めてからお寿司の写真を指さした姉は、財布を取りだした。
どうやらつい先日までいたフランスの貨幣しかないようだ。

「じゃあ両替してから食べに行こうか。」

便利なことに到着ゲート付近には両替機があるので其方へ手を引き、姉の財布からいくらかを両替する。
基本カードで支払うため現金はそんなに要らないか…と思いつつ、もしものために5万円程日本円に変えた。

さて、ここまでのやりとりで分かっただろう。
姉が有名になったのは勿論技術力もあるが、障害を抱えていることによる話題性も大きかった。

姉は、言葉が使えないのである。