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Aさんが飛び出して行ってから何時間経っただろう
俺は未だにAさんの部屋にいる
鍵はないし、開けっ放しにするのは気が引けて
でも、帰ってくるまでここにいるのも気まずくなるだけだ
どうしようと悩み続けていたその時
スマホから着信音が
それは、Aさんからだった
あんなことを言ってしまった後なのに…
どうしたんだろ
マ「もしもし」
『はっ、マサイさん、助けてっ』
その声に立ち上がり、家を飛び出した
走りながら息を切らして、泣いてるような声だった
マ「今どこ!?」
『えっと、たぶん____』
走ったからだろう、自分でもどこにいるかわからないようだ
でも、あまり賑やかなところではないらしい
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近くまできたはずだ
どこだ、
どこかの路地裏、にいるらしい
マ「いた!!」
路地裏でしゃがみ込んでいるAさんを見つけた
マ「A!!」
「…マサイ、さん」
目を疑った
服ははだけ、破れている箇所もある
腕には掴まれた跡
靴は履いていない
俺に向けられた顔は涙でいっぱいだった
マ「……」
羽織っていたシャツをAさんに着せ、そのまま抱きしめた
マ「…帰ろっか」
「…うん」
通りでタクシーをつかまえ、乗り込んだ
Aさんの左手を握りしめたまま、何も話さず、家まで戻った
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さっき飛び出た扉は当たり前だが開いていて、誰かが入ったような跡はなかった
マ「…とりあえず、お風呂でも入って着替える?」
そう聞いたのに、Aさんは何も言わず俺に抱きついた
…そうだよな、怖かったよな
そんな時に俺に助けを求めてくれたんだ
俺が助けないと
マ「…何があったか、ゆっくりでいいから教えてくれる?」
Aさんは小さく頷いた
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作者名:芽衣美 | 作成日時:2019年9月15日 17時