彼女の嫌がらせを一週間我慢する話【爆豪勝己】

Wednesday ページ5

月曜火曜の失敗を生かして慎重かつ何が起こっても動じねえぞという覚悟を持って扉を開ける。が、今日は玄関先では何も無いようた。手ぶらのAがいつもの如くにっこり笑って出迎える。

「おかえり、かっちゃん」

「...それはヤメロ」

えー素敵じゃん、“かっちゃん”とわざわざ含みを持たせて言うところに余計腹が立つ。オマケに今日仕事で助けた小さいガキが俺にお礼も言わずクソナードの所へ泣きながら走っていくところを思い出した。







「今日は普通なんだな」

今の季節秋刀魚はよく脂がのっていてうまい。2日連続で夕食に仕掛けられているので少しほっとした。

「毎日愛情込めて作ってるのに、ひどーい」

平気で嘘をつくその口、今日朝のキスを拒まれたことが頭に浮かび少しむず痒い気持ちがぶり返す。あと四日我慢しろと言われたがそれは意外と堪えた。



＊


「どこ行くの」

「トイレ」

テレビを見るAはふーん、とだけ相槌を打つがどこか怪しい。




「は ？」
案の定、だ。
トイレのドアノブを捻っても全く開かず、明らかに何かありそうな大掛かりな機会がドアに設置されている。

「あ〜かっちゃーん ！トイレ、クイズに答えないと入れないからね〜 ！」

リビングから大きな声が俺の耳に届く。クイズだあ？よく機会を見ると確かに1〜4迄のボタンとスタートボタンがある。

手が混みすぎている嫌がらせ、やっと本領発揮してきたかと心を引き締めスタートボタンを押す。


《爆豪勝己のヒーローネームは ？》

1 バ勝己

2 かっちゃん

3 爆心地

4 メラメラ★かつき


明らかに悪意のある選択肢にイライラしながら3を選ぶ。なんだ、簡単じゃねえか。

勿論モニターには赤色の丸が映し出される。よし、と思ってドアノブを___開かない。不審に思いモニターを再び見ると 1/50 と表示されている。

「ふざけんなや.....」

トイレに入るまでに50問、果たして膀胱が持つかどうか不安な気持ちよりもあのクソ女への怒りがふつふつと込み上げてくる。





「耐えろ爆豪勝己、お前ならできる爆豪勝己」







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因みにギリギリ間に合ったが、トイレットペーパーにも全く同じ仕掛けがしてあった。

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