* afternoon ページ11
afternoon
クソナードにAが理由を説明している間俺は非常に不機嫌だった。まずそもそものルールである『他人に迷惑をかけない』をAが破ったことだ。あれほど俺に我慢をさせておいて自分が危なくなったらすぐに裏切る、そんな態度に真底傷ついた。
わかってる、元はと言えば先にルールを破ろうとした俺が悪いってのは。わかってるけど
Aはクソナードが帰った後は気まづいのか俺に話しかけてこようともしなかった。
*
折角の休日、二人で過ごせる短い時間。
にも関わらず俺は素直に許すことが出来ず、Aも俺に謝ってくる様子はなく、結局すれ違ったまま夜になった。
クソ、と小さく悪態をついて布団を被る。まだ風呂に入っているであろうA、いっそのことこの寝室に来るまでに寝てしまおうかなんて考える。しかしアイツの声だとか仕草だとかが一々頭にこびりついていて振り払えない。特に、俺が怒っているとわかった後のなんとも言えない顔が。
イライラして、寝つけねえ。
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ぺたり、ぺたりと潤いのある足音が響く。
「.....勝己、起きてる ?」
この1週間どころかここ1ヶ月以上聞いていなかった弱々しい声。おう、と素っ気なく返事をして後悔する。
何かを決心したように、すぅと息を吐き出したAはそのまま俺の布団に潜り込んだ。そして一瞬躊躇してから少し冷えた俺の左手を暖かく包み込む。
「ごめん」
俺に落とされた言葉は暗闇の中でゆっくり消えた。
俺とAは性格が似た所が多いため、それを口に出すのがどんなに勇気が必要だったことかなんて容易に想像できる。
「先にルールを破ろうとしたのは俺だ」
包まれていた手を包み返して、少しだけ力を入れると驚いたような声を漏らす。
「だからお前を責めらんねえ、意地張ってお前を傷つけて悪かった」
俺の思いが届いたのかどうかもわからない。けどこうやって突然抱きつかれたということはまあ、そういうことなのだろう。負けじと俺も華奢な腰に腕を回す。
「なんか、閉まらない終わり方だね」
そう、湿っぽい声で囁かれる。
それに対してそうだな、とだけ返事をしてやると怒ったように脚をばたつかせて俺に攻撃する。あークソ、ウチの彼女様は本当に可愛い。
「なんてな」
緩んだ頬を必死に隠して馬乗りになる。
「合意の上なら、手ぇだしてもいいよな ?」
そうやって分かりきった答えを待つと、優しくシてね なんて帰ってくる。
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「ん、ムリ」
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小桜(プロフ) - イタズラされるかっちゃんの姿は新鮮で、とっても面白かったです! (2021年9月17日 7時) (レス) id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
エヴァン - 面白かったです!! (2019年12月6日 0時) (レス) id: 45eedb7288 (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 花帆さん» そう言っていただけると頑張った甲斐があります、、!!最後までお読みいただきありがとうございます! (2019年7月21日 9時) (レス) id: 398f10c90b (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 彼女の悪戯に耐えるプロヒーローかっちゃんが新鮮で面白かったです(o>ω<o)完結おめでとうございます! (2019年7月21日 2時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
eye(プロフ) - 大変遅れたコメ返し申し訳ありません、、 (2019年7月15日 21時) (レス) id: 398f10c90b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:eyeヾ(ö?<?)。?? | 作成日時:2018年10月2日 20時